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言葉の流星群 (角川文庫)

言葉の流星群 (角川文庫)

言葉の流星群 (角川文庫)

作家
池澤夏樹
出版社
KADOKAWA
発売日
2013-08-24
ISBN
9784041009680
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言葉の流星群 (角川文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

宮沢賢治一色の評論というか池澤さんが宮沢賢治の詩から受けた印象あるいは感情の波をご自分の言葉でさらなる作品に転化しているような感じを受けました。どのような選択で賢治の詩を選んでいるのかはあまりわかりませんが、賢治ファンの方にはたまらない作品であるという気がします。この題名にも私は池澤さんの賢治への思いが込められている感じがしました。

2015/10/14

クプクプ

池澤夏樹の宮沢賢治の作品に対する評論でした。「宮沢賢治は遠くのことを書くのは得意だったが近くのことを書くのは苦手だった。だから生きものを登場させた童話を書いた」という表現は当たっていると思いました。また当時の作家はほとんど東京に住んで東京の物語を書きましたが、宮沢賢治は岩手を書いた異色の作家だったというのは初耳でした。私は最近、新潮文庫と角川文庫の宮沢賢治の作品を全て読みました。「言葉の流星群」は宮沢賢治の詩と童話が数多く出てくるので私にとってちょうどいいタイミングでこの作品を読めたと感じました。

2021/10/17

chantal(シャンタール)

「伝記的な読み方をすると才能が生活のサイズまで縮んでしまう、だから純粋にテクスト群だけを読んで行こうと、そのために『ケンジさん』と呼ばせてもらう」と前書きして始まる池澤氏の賢治考。自然と人間との関係を正しく理解しその上でどう生きるべきかを考え続けた賢治。作品は生前には評価されなかったが、今の私達には突き刺さる。「世の矛盾を悟り成熟する事を拒んだ彼のイノセントが、童話と言う形を取らざるを得なかった」。確かに、どこかで大人になる事、清濁合わせ飲むことに拒否感を感じる人が賢治の作品に共感を抱くのかもしれない。

2021/07/31

Mishima

彼はnatureを見て溜息する。心底感嘆する。そこに包まれて存在したいとする。もっというなら、気体化して混じり合いたいとすらおもう。言葉から放出する祈り。畏怖。畏敬。依存。依頼。彼らは知らん顔だ。それなら、と思う。それでいいんだ、と思う。だったら、俺はリンゴの木のあり方を言葉に託そうと思った。星の呼吸を記そうと思った。ありのままに。俺のできるかたちで。その日、命が尽きるとして、血液というものが全て体のなかから流れ出てしまうとして、俺は失われるか。そうして一部となるだろう。りんごの、ほしの、つちの、もりの。

2019/12/21

すみれ

宮澤賢治の「言葉の流星群」に池澤さんの道標が灯り、更に煌めく流星となっていく。道標そのものが、温かさ親密さ美しさを湛えて伴走する流星群。その読書はもう、星降る里で感嘆と祈りの気持ちで夜空を憧憬する心地。宮澤賢治の作品のリズムも語りも寄せた思いも大好きだったけれど、池澤さんの「詩人の世界の跋渉」で、ケンジさんの軽さに青さにユーモアに距離感に言葉遊びに世界との呼応に真摯さに自然との対峙の仕方に、ささやかなアプローチができて更に大好きが深まった。書名を冠した二十四章の「跋渉」と四篇の論考で構成されている。

2019/12/08

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