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中尉

中尉

中尉

作家
古処誠二
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2014-11-29
ISBN
9784041023464
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ジャンル

中尉 / 感想・レビュー

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主人公は歩兵の尾能軍曹。ビルマ戦線にてペスト対策に派遣されている軍医の伊与田中尉の護衛任務にあたる。伊与田中尉の軍人らしくない言動に嫌悪を感じる軍曹。最後に伊与田中尉がダゴイ(現地ゲリラ?)にさらわれるが伊与田中尉は無事なのか?と戦争→サスペンス形式になります。難しい用語も出ますがわかりやすい方だと思います。伊与田中尉は婚約者の元へ帰れば彼女が更に苦しい人生を過ごすだろうとその先を見据えての決断をする。ザ・軍人気質の尾能軍曹の考えも、アウトローな伊与田中尉の考えも納得出来ます。

2015/01/11

RIN

古処さんの何冊目かの太平洋戦争ビルマ編。考えてみれば太平洋戦争でビルマとの関わりはかなり重要なメルクマールになっていたのでは?地政学的にも日本対欧州の太平洋戦争という観点でも。古処さんが集中的にビルマを舞台に書かれているのもさもありなん。そしていつものように、普通の人が戦争という普通ではない状況に置かれた時の人間の本質の激変と不変さを淡々と描くことで、戦争の無意味さ空虚さをじわじわと伝えてくる。派手でドラマチックで号泣ものの戦争小説も意味はあるがこの手の戦争小説はもっと評価されていいと思う。おススメ。

2015/12/24

そうたそ

★★★☆☆ ペスト収束に奔走するビルマの部落に派遣されてきた軍医の伊与田中尉と、彼の護衛を任ぜられた尾能軍曹。その振る舞いの自由さが時に役職不的確を思わせる伊与田中尉だが、その評価も様々。そんな中、伊与田中尉の誘拐事件が発生する。サスペンスの味わいも合わさって展開される戦争小説。今までの古処さんの戦争小説とはまた違った趣の感じられる作品であるように思えた。淡々とした語り口の中から浮かび上がる伊与田中尉像と、尾能軍曹自身の中尉あるいは他の住民たちへの印象の変化。何をとっても巧さが感じられる秀作だった。

2015/02/16

ren5000

終戦間近のビルマでのお話ですた。淡々と語られる文章はじわじわと読み手がわに沁みてくる印象を受けました。戦争の話なのにあまり血なまぐさい話がなくなんとも不思議な読後感のある作品でした。

2015/10/10

yumiko

昨年最後の一冊は、書評で見かけた初読み作家の作品。敗戦間近のビルマ、ペスト封じ込めのため派遣された軍医伊与田と、その護衛尾能。無事終息したのも束の間、ある日伊与田が武装集団に拉致されてしまう…耳慣れない言葉が多い戦争小説にも関わらず、整然とした端正な語り口と、ミステリー仕立ての構成に助けられ、深い人間ドラマに引き込まれた。真実は最初から目の前にあったはず。ただ先入観に囚われた者の目には、見ることができなかった。怪物や亡霊を見せるのは、実は恐れや偏見に満ちた人の心なのかもしれない。新しい出会いに感謝。

2014/12/31

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