人形佐七捕物帳傑作選 (角川文庫)
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人形佐七捕物帳傑作選 (角川文庫) / 感想・レビュー
HANA
全百八十篇の中から七編セレクト。このシリーズに初めて触れる人のためか、最初の事件と最後の事件及び仲間たち初登場の話が収録されている。内容的には流石に横溝御大といった所で、最初の話は某有名ミステリを最後の事件は著者の『悪魔の百唇譜』を連想させられる。他の捕物帳と比べて衆人環視内の殺人や雪達磨の中の死体等、やはりミステリ作家独特の内容も光る。流石に円熟期の現代ミステリのトリックや筋立てには及ばないものの、「季の文学」とミステリが融合しているのも流石。やはりこういうのに触れると全ての作品が読みたくなるなあ。
2016/01/30
中原れい
さすがは正史、面白い。語り口が江戸っ子というわけにはいかず、ややくどい言い回しもあるけれど、江戸のころの地理・風俗や人物の様子まで、下調べの行き届いた舞台を駆け回る佐七たちの活躍に心躍る。わたしもテレビは林与一派だなあ、話は怪談仕立てばっかりだけど。ミステリーとしてしっかりしてる近年のは決め台詞が鬱陶しいから。
2018/01/31
Kouro-hou
五大捕物帳の一つ、「人形佐七」シリーズ短編集。人形佐七は春陽堂文庫全14巻も角川の横溝自薦集3冊も版切れで読むのが難しい状態のため、文庫新刊は有り難いことです。収録がレギュラーキャラの初登場話中心の7話セレクトのためドラマの基礎部分が堪能でき、またトリックと話のキレで選抜された自薦集24話とダブリが2つしかないのも自薦集持ちには嬉しいかも? 惜しむらくは最終話があまり良い話ではない(最終回では無く、風俗色の強い休筆期の作品)ので、興味をもたれた方は電子版の自薦集を、というか自薦集も再販しようよ、角川さん。
2016/02/23
takaya
横溝正史の時代小説。後回しにしていたのですが、期待を上回る傑作でした。現代ものに比べて、それほど生々しくなく、ユーモアもあって、楽しいミステリーです。著者にこんな一面があったとは意外でした。
2023/03/30
イシグロ
人形佐七捕物帳は全部で180編も書かれているらしいのですが、その中から選び抜いた7編を収録したベストアルバム的1冊。主要キャラクターの初登場作を中心にセレクトしているので、入門用には最適でした。 文章・会話のリズム感、事件の凄惨さと裏腹に横溢するユーモア。ああ、だから横溝正史は時代を超えて読みやすいのだなあと感心することしきり。特にうらなりの豆六が登場してからのセリフの弾み方には、そうか関西人だものなと納得でした。 当然、ベストですからどれもよいのですが、中でも『舟幽霊』には唸らされました。これは凄い…。
2021/01/17
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