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颶風の王

颶風の王

颶風の王

作家
河崎秋子
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2015-08-01
ISBN
9784041029619
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颶風の王 / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

素晴らしい…。とにかく素晴らしい。さすが『三浦綾子文学賞』受賞にふさわしい‘文学’作品でした。時は明治から平成の今にかけて、「馬」とともに生をつなぐある一家(一族)の壮大なクロニクルです。オープニングから、その只ならぬ描写に見事に惹きつけられ、「馬」を愛し、家族以上に大切に慈しむ姿にじんわりとココロ打たれます。舞台が北海道は根室、釧路、十勝と道東なのも風景描写の美しさに更に拍車をかけています。特にクライマックスでの根室の風景は芸術とも言えます。北海道の雄大さ、素晴らしさをいかんなく発揮した大傑作でした。

2015/10/07

しんたろー

川﨑秋子さん初読み。馬と強い結びつきを持った女性と子孫の物語……北の過酷な自然の中で生き抜いた記録は、丁寧なドキュメンタリーを観ているような感覚だった。その愚直で懸命に生きる人の歴史は、強い潮風と大地の香りが漂うのに、格調さえ感じる流麗な文章で綴られていて、見たこともない風景なのに目に浮かぶよう。ミネの必死な想いが熱く伝わってくる第1章はドラマとしても秀逸だった。240ページ程度でまとめ上げずに、もっと第2&3章を書き込めば更に重厚になったと思うのは欲張り過ぎか? そう思わせるほどの良作だった。

2018/01/24

いつでも母さん

『土に贖う』が作者初読み。読友さんのお薦めで今頃デビュー作を。一族6代に渡る壮絶なドラマが凄い!体温が上がった感じでしばし放心状態。第一章でとにかく強烈に圧倒された。第二章、及ばぬ諸々は人生に多々あるのは現実だが苦しい。そして、結びの第三章に作者の強い意志を感じた。馬は賢く、人はその自然の前では愚かだ。だが、それぞれの繋がれた魂の欠片はその先を生き抜く力となるのだ。と、そんなことを思った。颶風とは本作で知った言葉だったが何とも相応しいタイトルだった。一回限りの【三浦綾子文学賞】受賞おめでとうございました。

2020/12/05

ナイスネイチャ

図書館本。馬と共に明治から現代まで生きた物語。最初が生臭い場面があり、重たいなぁと思いましたが、馬と人との繋がりを濃密に綴っており良質な物語でした。

2016/02/28

なゆ

馬と人と厳しい自然。あの馬がいなかったら、この物語は生まれない。馬に守られて始まった一族の話は、大自然の厳しさの前では人間とは実に無力だということを突きつけられて気持ちがピリッと引き締まる。そして、生きることに執着することの凄みと尊さ。絶体絶命のなか馬に生かされたミネ、北海道の開拓民として根室に根付くもオヨバヌ自然に抗えない捨造と和子。人の意思が、願いが、及ばぬところに実は私達は生きている。最終章、現代で大学生のひかりが花島で体験したことは、それぞれの遺伝子に刻みつけられてる記憶があったからと思いたい。

2019/12/15

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