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光炎の人 (下)

光炎の人 (下)

光炎の人 (下)

作家
木内昇
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2016-08-31
ISBN
9784041041949
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光炎の人 (下) / 感想・レビュー

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ミカママ

わたしが苦手とする日本の近代史、さらにちんぷんかんぷんな電気の仕組みを、補って余りある見事な作品であった。電気「もの狂い」の音三郎は、読む者に一切の感情移入を許さない。彼はそんなレベルには居ないからだ。(正直わたしには、元カノのおタツへの仕打ちはしんどかった)。独特の流れるような美しい文章で、彼の人生を書き尽くした。門外漢のはずの木内さんが、敢えて電気を描こうとした気概に惚れた。改めて彼女の作家としての引き出しの多さを思う。

2020/07/12

いつでも母さん

時代に抗い、時代に求められ、時代に流され、そしてのこの最期はあまりに虚しくはないだろうか!完全文系の私には難しいところが一杯で読了にとても時間を要した。それでも何かを追求する人の姿は胸を打つ!で終わりだったら良かったのに・・人の心はままならないなぁと正直思うのだ。音三郎は悪くない!なんて言えないからちょっと哀しい。金海の姿がいっそ清々しく思うのだ。木内作家、渾身の力作だろうが下巻は特に複雑だった。それ故疲れた読書だった。再度、そりゃあ無いよ・・と云いたい。

2016/11/02

なゆ

読み始めた時は、「電気は、人々を救うのだ」という想いを形にするための長い物語なのだろうと思っていたのだが…。大阪から東京そして満州へと舞台を変え、無線機の開発と実用化に没頭していく音三郎。開発が進むほど、音三郎からは何かが切り捨てられていってるようなうすら寒さも。どういう思いで読み続けていけばいいのか、複雑だった。どこで歯車は狂ったのか。確かに物狂いすぎて、それ以外のことには気が回らなかったのかもしれない。それゆえの哀しい結末だったのか。向かう道は違うが、利平もどこか似た危うさを感じてしまった。

2016/12/21

ゆみねこ

どっしりとした読み心地。音三郎がどんどん変貌してゆく姿、読んでいて辛かったです。大正から昭和、日本が戦争へと突き進んでゆく時代、ハッピーエンドではない物語なので面白いという感想にはなりませんが、印象に残る作品です。

2017/02/02

nico🐬波待ち中

田舎にいた頃の音三郎は大人しくて純朴な若者だった。田舎から大阪、東京と場所を移し、小さな町工場の職工から官営の軍需工場の研究員に。小学校もまともに卒業していないのにインテリ達と共に仕事をしても引けをとらない…出世街道まっしぐらで夢も叶ったかに思えたのに、彼は現実の壁に立ち塞がれる。上巻とは違い下巻は読み進める内に胸苦しくなってくる。「必ず成功してやる」彼の強気の野心が虚しい。ラストの幼馴染みとの対峙は遣りきれない。自分の技術にプライドを持った男の夢は、現代に生きる技師達に受け継がれていると信じたい。

2017/12/02

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