不在
「不在」のおすすめレビュー
女優・橋本愛推薦! 直木賞候補作家・彩瀬まるの最新刊『不在』は、愛ゆえの盲目と呪縛にあがく女性の物語
『不在』(彩瀬まる/KADOKAWA)
好きな人と結ばれて幸せ、ではなく、他者に依存しないエンディングを迎えてほしいと思います。と、担当編集者から指摘を受けて、マンガ家の明日香は憤る。他者に依存? 好きな人と結ばれて、幸福になることが? 彼女は若くて苦労を知らないから、誰かに救われた経験がないからそう思うのだと。なんとも傲慢な意見だが、気持ちはわかる。愛に不足し、自己肯定感に飢えている人が、初めての恋(恋人、ではない)を手に入れたとき似た錯覚に陥ることは、しばしばある。こんなに居心地のいい、自分をまるごと受け止めてくれる相手は初めてだ、これこそが求めていた真の幸せだったのだと相手に身を委ねることは、決して悪ではない。だが、盲目的ではあると思う。小説『不在』(彩瀬まる/KADOKAWA)で描かれるのは、愛ゆえの盲目と呪縛で見えなくなってしまう自己と他者の本質だったのではないか、と読み終わった今、思う。
明日香の両親は、父の暴力が原因で幼いころに離婚した。ところが25年間疎遠だった父が死に、遺産として明日香に土地と洋館が託される。「明日香を除く親族…
2018/7/12
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不在 / 感想・レビュー
starbro
直木賞候補の「くちなし」に続いて彩瀬 まる、2作めです。ホラーやイヤミスに変換して行くのではと思いながら読み進めましたが、正統派の恋愛・家族小説の佳作でした。少し作風が、村山 由佳に似て来たような気がします。
2018/10/02
風眠
家族の形、恋人の形。それはどんな形をしているの?どんな形なら満足できるの?愛の形は人それぞれで、どんな形でもニーズが満たされていれば問題はない。それがたとえ支配と忠誠という愛であっても、それが望む形だったら、それでいい。けれど大抵の人はそうじゃない。そんな歪んだ愛は望まない。期待通りの形に収まってくれないあなたが悪い、私が望む愛はそうじゃない、そうやって父を、恋人を、責める明日香。理不尽で我が儘な明日香の言動の裏にある、上手に愛せない苦しみ。人の心は複雑で、時に愛を間違えてしまう。愛の不在を埋められずに。
2018/08/02
utinopoti27
本作は、家族の愛情を受けられずに育った明日香が、父の遺品を整理しながら、愛なき世界を強く生きていこうとする物語だ。24年前、母に暴力を振るったあげく、家族を捨てた父。遺品整理をするうちに、次第に蘇る家族の記憶は、やがて黒い小さな塊となって明日香の現在を蝕んでゆく・・。自分の考える家族や愛のあり方に固執し、異を唱える恋人に暴力を振るう彼女は、結局父と同じ道を歩もうとしていたのでした。終盤での明日香の気付きと再生に向けた道筋は、既成概念へのアンチテーゼとも読み取れる。捉えどころに苦労する難解な作品でした。
2019/02/10
いつでも母さん
なんとも感想が書き難いったらありゃしない。彩瀬まるだから一筋縄ではいかないとは思っていたが・・父の遺品を整理する漫画家の娘・明日香。囚われるってこういう事なのだろうかー味方になって欲しいから愛するのか?只、親子だから味方するのか?私の中の親子の概念が崩れそうだ。連綿と続く親子関係ってある意味怖い。今作は喉の奥に異物が残っている感じで仕方なかった。あの男の子は明日香の心の中に住んでいた『愛の鍵』そのものだったのかーここの誰にも寄り添えない私は・・
2018/07/20
うっちー
よく分かりませんでした
2018/07/17
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