読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ

スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

作家
佐藤亜紀
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-03-02
ISBN
9784041050767
amazonで購入する Kindle版を購入する

あらすじ

1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルク。軍需会社経営者である父を持つ15歳の少年エディは享楽的な毎日を送っていた。戦争に行く気はないし、兵役を逃れる手段もある。ブルジョワと呼ばれるエディと仲間たちが夢中なのは、“スウィング(ジャズ)”だ。敵性音楽だが、なじみのカフェに行けば、お望みの音に浸ることができる。ここでは歌い踊り、全身が痺れるような音と、天才的な即興に驚嘆することがすべて。ゲシュタポの手入れからの脱走もお手のものだ。だが、そんな永遠に思える日々にも戦争が不穏な影を色濃く落としはじめた……。一人の少年の目を通し、戦争の狂気と滑稽さ、人間の本質を容赦なく抉り出す。権力と暴力に蹂躙されながらも、“未来”を掴みとろうと闘う人々の姿を、全編にちりばめられたジャズのナンバーとともに描きあげる、魂を震わせる物語。
※特典:著者によるあとがき「跛行の帝国」、紙では載せきれなかったロングバージョンを収録。

スウィングしなけりゃ意味がない / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

紅はこべ

ユダヤ人迫害をメインではなく、第二次大戦中のドイツを描いたのは珍しい。ドイツとジャズって意外な組み合わせだった。ユダヤ系じゃない富裕層もゲシュタポの標的となっていたのか。佐藤亜紀さんの訳した歌詞がかっこいい。演奏者としての才能はなかったけど、プロデュースや商売の才能があったエディ、自国をお馬鹿な帝国と言い放てる見識、かっこいいよね。経済をきちんと描くのがこの作家らしい。ナチに膝を屈したと見えた父の真意をエディが悟った時は泣けた。デュークと再会するかと思ったが…。

2017/06/29

風眠

もしも日本が戦争を始めたとして、アイドルやバンド等の音楽や文化を全部禁止します、と言われたら、私達は黙って従えるだろうか。つまりこの小説で言っている事って、そういう事なのだ。第二次大戦、ナチス政権下ではジャズは敵性音楽だった。そんな理不尽と抑圧と全体主義に対して「誰得だよ」とか「うぜえ」とか言いながら、ジャズを手放さない不良少年達。こんな風に文体を1940年代から現在にスイッチさせた佐藤亜紀のセンス、本当に素晴らしいと思う。だって、ナチス政権のバカバカしさや戦争の愚かさを、身近に感じる事ができたのだから。

2018/01/22

雪風のねこ@(=´ω`=)

戦場のコックたちと似たニュアンスかなと読み始めて、ドイツは敗戦国だったと思い直す。言い回しが小気味良く適度な刺激で読み進められる。エディは、イロニーは無いと嘯いているけれど、パーティを催し、海賊盤を作り、工場も運営し…。それが彼のイロニーでは無いかと思う。世は何時もお前より一枚上手だ、と叔父に言われるが、ゲッベルスが自前のバンドを持ち…という件から、真理としてさらに一枚上手だったと言える。人間の本能的な喜びは制度や暴力では止められない。止める側が止めてないからだ。そういうイロニーが込められた作品である。

2017/04/27

🅼🆈½ ユニス™

ナチス政権下のドイツで金と時間だけを持て余すボンボンの悪ガキどもが、敵性音楽と呼ばれるジャズに夢中になって仲間たちで享楽的な毎日を送る。恵まれた環境の中で不良を気取り、ゲシュタポを馬鹿にしていた奴らが時代の嵐に立ち向かう姿を著者は立体的に独特な描写で伝えて来る。戦時下のドイツの若者の状況を始めて垣間見た気がした。中々面白かった。同じ時期を背景に描いた’また、桜の国で‘も是非読んでみたい。

2018/12/27

タカユキ

スウィングジャズやダンスのステップが今にも聞こえてきそうな描写。そしてそれとは対照的な空爆された市内の様子の生々しさが印象に残った作品。1940年代初頭、ナチス政権下の港街・ハンブルグが舞台。裕福な家庭の青年が敵性音楽であるアメリカのスウィングジャズを拠り所にナチスへの抵抗活動を試みる物語。ダブルのスーツでキメて青春を謳歌する彼らは軽いノリのようで「戦争には行かない」という強い意志があり格好が良い。生命力溢れる若者たちの反戦の物語。面白かった!

2017/07/09

感想・レビューをもっと見る