KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

里山奇談

里山奇談

里山奇談

作家
coco
日高トモキチ
玉川 数
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-06-01
ISBN
9784041050781
amazonで購入する

「里山奇談」のおすすめレビュー

「後で事実を知るとゾッとする」奇妙で怖いはずなのになぜか心が温まる『里山奇談』

『里山奇談』(coco、日高トモキチ、玉川数/KADOKAWA)

 この世の中には人間が介入してはいけない領域が確かに存在している。それは場所であったり時間であったり、さまざまだ。そう感じているのは筆者自身も奇怪なことを経験することが多いからで、『里山奇談』(coco、日高トモキチ、玉川数/KADOKAWA)にはそんなエピソードが40話集められている。本書の中には、いわゆる心霊体験もいくつか紹介されているが、どういうわけか怖いという感覚がない。もちろん、読む人によって感じ方はそれぞれだろうが、読み終えた後に温かい気持ちになるのは不思議だ。山に関わる実話の怪談ものは何冊か読んでいるが、こういう感覚になる本は初めてである。一体なぜなのだろうか。

 本書のエピソードの語り手にはある共通点がある。“生き物屋”と称される人々だ。“生き物屋”とは虫や蝶などさまざまな生き物の観察や撮影などを愛好する人を指すらしい。『里山奇談』は時間があれば里山へと足を運ぶような“生き物屋”と、里山で実際に暮らす人々による体験集なのだ。つまり、奇妙なできごとのほとんどは彼らにと…

2018/2/19

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

里山奇談 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

【図書館本】読友さんレビューで知ったこの本。読みながら何度もおもしろい‼︎と叫びました。 現代版遠野物語のような、不思議でちょっと怖い体験をまとめた本書。読みながら今もなお人の手が入ってない、畏怖すべき山が残っていることに喜びも感じる。 黄昏れ、松虫では全身激しく鳥肌がたち、蛇の睦事、おまっしらっさん、ほたるかい、山野辺行道では虫の知らせのような第六感や昔からの風習の美しさ、目に見えない隣人の存在に心が熱くなった。まだこういう世界が残るなら、現代日本もまだまだ捨てたもんじゃない、なんて。

2018/07/31

nuit@積読消化中

【日本の夏は、やっぱり怪談〈其の三・和洋折衷編〉(2017年8月21日-31日)】私は虫が苦手である。虫好きのcoco氏らが書いてる&撮っている写真が載っているであろうから、絶対にバリバリに虫登場だろうと恐々手に取ったら…あら、そんなことはなく、田舎出の私にはとても懐かしく、怖いお話を読んでいるのに、なぜかじんわりと心温かく優しい気持ちで読みきらせて頂きました。最近色々怪奇譚集が出ておりますが、その中でも充実して読み応えもある作品集でした!続編が出たらまた読みたいです。

2017/08/25

ままこ

生き物屋と称される生物愛好者達が里山で遭遇した奇談集。淡々とした語り口で綴られていて怖さ控えめだが一歩間違えばどうなってたかわからない底知れない畏怖が漂っている。印象に残ったのは畏怖と清々しさを感じた『神木と御鈴』と不思議だけど温かい気持ちになった『おかえりの蜂』。続編もあるようなので読んでみよう。

2018/08/22

★Masako★

★★★★里山、そこは伝承や風習が残る人里と神聖な山の境界にある場所。この作品は、動植物や自然を愛し里山を探し歩く人々の体験談をまとめた奇談集だ。数ページの話が40編。どれも不思議で妖しげで少しぞくりとする。夜中に読んでいると、ちょっとした異世界に入り込んだような気持ちになる。私も四季折々の花や自然を求めてよく山や里山に行くが、より畏怖の念を持ち五感を研ぎ澄ませて歩いてみたくなった♪「蛇の睦事」「親睦と御鈴」「山野辺行道」「松虫」が特に印象的♪「古井戸」の神事にはなるほどと納得。装丁も美しく内容にぴったり!

2018/08/27

ちょろこ

里山が舞台の不思議話、の一冊。素敵な装丁と、数々の不思議な話を楽しめた。里山を舞台に自然に息づくものたちと伝承とちょっとした不思議で不可解なこと、これらは最強の組み合わせ。都市の喧騒が舞台になるものだと興ざめを感じがちだけれど、静寂に包まれた自然が舞台なら違和感なくひきこまれる。常に異界が隣接しているかのような危うさもいい。不意に空気が変わる瞬間、それをちょっと体験してみたい気がした。「ほたるかい」「打上花火」「陰の膳」に込められた思いがなんともせつない。

2018/07/19

感想・レビューをもっと見る