山の音 (角川文庫)
山の音 (角川文庫) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
「自分は誰のしあわせにも役立たなかった」息子と娘がいて、息子夫婦と同居。妻も健在で会社も経営、孫がふたり。なのに晩年にしみじみと感じる思いがそれなんて。息子の嫁より若い、見知らぬ娼婦と眠る幸福になごみ、幸福はこのようにつかの間ではかないものかもしれないとぼんやり思う。なんてもの寂しい晩年だろう。 実の息子と娘、孫が全員すごく嫌な感じで、息子の嫁の菊子だけが愛らしく哀れ。主人公は六十過ぎても女性を顔面の美醜で測っているように思え誰にも共感できない。一帯に戦争の荒んだ余韻も感じさせる、なんとも絶望的な小説。
2018/08/25
佐島楓
優れた文学作品に共通することとして、再読のたびに発見があることと、多様な読み方ができるという点があると思う。川端作品だから当然、というのはなくても、両方の条件を満たしている。今回は菊子が実はかなりしたたかな女性なのではないかと思った。自分の肉体を犠牲にしながらも、生きる道を模索しているように見えた。
2018/07/27
yomineko@猫と共に生きる
読み友様からのご紹介本です📚川端康成先生の勿論古い小説ですが現代にも通じる様な場面もあり、読みやすかったです。
2023/03/20
HANA
初老の主人公と、その家族を描いた物語。文章の美しさにまずは魅せられるが、欝々とした主人公の内面をずっと見せらるのには閉口した。「家」の崩壊とそれを暗示するかのような山の音という事だが、その家を作り出す家族が共感できるような人間が一人もおらず崩壊もむべなるかなという気分になった。『雪国』や『古都』とかだと時代を隔てた価値観の中にも美的なものを見出せたけど、本作だとそれが概ね不快に感じる。戦後という時代も原因だろうけど、登場人物の身勝手さが鼻につくのかなあ。著者の本の今までと違う読後感に混乱することしきり。
2018/04/08
万葉語り
手に入らなかった美しい人の妹と結婚し、どこか満たされないまま老いた尾形信吾。女遊びの激しい息子の嫁で清楚な菊子と、二人の子供を連れて出戻った実の娘房子の二人を比べる基準も美しさ。実生活に支えられていることに無自覚で、美ばかりを追い求める幸せとは言い切れない男の身勝手がイラつく作品だった。川端さんの作品をこんな風に言ったら罰が当たるかもです。2018-51
2018/03/05
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