みずうみの妻たち 下 (角川文庫)
「みずうみの妻たち 下 (角川文庫)」のおすすめレビュー
夫の浮気を見過ごす代わりにフランス料理店を開業する妻――。90年代に連載された幻の不倫小説『みずうみの妻たち』
長年連れ添った夫が不倫して「はいそうですか」とすぐに離婚できる妻は一体どのくらいいるのだろうか? 少なくとも筆者は無理だ。きっと様々な感情が交錯するだろうし、周囲の視線や手続きの煩雑さ、金銭面を考えると「離婚しない」選択をする可能性も高い。だが、夫に愛人がいるという事実は許しがたい。心にぽっかりと空いた穴はどうすればいいのだろう。
林真理子氏の『みずうみの妻たち 上・下(角川文庫)』(KADOKAWA)は、結婚10年目の夫に浮気され、開き直られた挙句、別れる道を選ばずに、フランス料理のレストランの開店を決意した美しい妻の物語である。
本書は、90年代に『湖のある街』のタイトルで新聞連載された幻の不倫小説が、大幅に加筆され、初めて書籍化されたもの。
地方住みゆえの息苦しさや、簡単に離婚できない事情に共感すると共に、世間知らずではあるものの、したたかに生き抜く女性の強さが印象的だ。
小説の舞台は湖のある城下町。主人公の朝子は、老舗の菓子屋「香泉堂」に嫁いだ34歳の社長婦人だ。
彼女は裕福な夫を持つ女たちが所属する「みずうみ会」という親睦団体に所属し…
2018/10/13
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みずうみの妻たち 下 (角川文庫) / 感想・レビュー
よつば🍀
90年代に『中国新聞』等に連載された作品の初書籍化。上巻に続き下巻を読了。浮気夫に愛想を尽かした主人公の朝子はレストランの設計を依頼した建築士の大和田にどんどん惹かれて行く。同じ湖の町で暮らす友人の文恵も朝子と競争する様に作家の加藤との不倫にのめり込む。終始周りの目を気にしながら閉塞感漂う町で暮らす朝子の生きづらさや息苦しさは解るが、全く魅力を感じない大和田に恋愛感情を抱くのが理解不能。軽薄で口が軽く逢瀬のホテルに「ヤッホー」とやって来る様な男は私には無理だ。不倫物語だが盛り上がりもなく物足りない読後感。
2019/03/11
くろにゃんこ
まぁ、大ごとにならずに終わってよかったね(^^ゞ知らずは当人ばかり…なのだろうな。大和田が軽すぎて子供っぽくて魅力を感じなかった。今、この題材で書いたら…それも読んでみたいです。
2019/03/23
カーミン
地方の名士の妻であり、美しく、また十分な若さを持つ朝子。たっぷりの金と暇を持て余したら、次に欲しくなるのは愛人なのか。夫の財力で造る朝子のフランス料理店を設計する建築家大和田との関係は、それとなく周りの人間の知るところになるのだが、本人たちはまだそれに気づかない。責任も何も取らずに口説く男も身勝手であるが、それにぐずぐずと振り回される女も情けない。そういいながらも、どこかで朝子をうらやんでいる私がいる。
2019/05/27
ぱぴこ*2
下巻まで読んで初めて気づく。あぁ、30年近く前の話だったのかと。今なら携帯電話で難なくとれる不倫相手との連絡も、電話ボックスの公衆電話からだったなんて。上巻からずっと感じていた微かな違和感の正体は時代背景の違いだった。しかし、この30年で生活様式がすっかり変わってしまったのだと実感。ストーリーとしては真理子先生にしてはおとなしく落ち着いた感が。久しぶりだったので楽しんで読めました。【図書館本:75】
2018/12/27
❧nao❧
林真理子さんお得意の、ちょっとセレブな奥様不倫ワールド。30年前に新聞連載されたものなので、携帯電話がなく、相手への連絡の大変さばかりが目につきます。30年前の設定とはいえ、主人公の朝子がまだ30歳半ばなのに、妙に老けてる感じが…。相手の男性の魅力も?で、どっちもどっちの世界でした。
2019/02/24
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