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夜のリフレーン

夜のリフレーン

夜のリフレーン

作家
皆川博子
日下三蔵
出版社
KADOKAWA
発売日
2018-10-26
ISBN
9784041072264
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夜のリフレーン / 感想・レビュー

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いつでも母さん

24篇の短編。超短い短編もあるがページ数じゃない。そこにある不思議。哀しみもあるがざわりとするあれやこれ。寄せては返す波の様に私を離さない。生きている人間が一番怖いが、人形の話はちょっと苦手・・『蜘蛛が踊る』のあぶら寺はどこにあるのだろう。私のそばにあるのかなぁ・・キャー!

2018/12/12

藤月はな(灯れ松明の火)

皆川博子作品は短編ですら幻惑と媚薬めいた毒を孕んでいる。そんな彼女の作品の中で今まで単行本化されなかったものを集めた短篇集。それを読みながら極上の白昼夢の中で漂う陶酔を味わうのは至福の時間だ。序盤の表題作からもう、女の静かに立ち上ってくる情念と狂気にゾクゾクしてしまう。「スペシャル・メニュー」は最初の滑稽さに対するスペシャル・メニューの落差よ。「紡ぎ唄」のアンファンテリブルでサイコパスな少女も末恐ろしい。女としては「恋人形」と「虹」、「七谷屋形」に共感してしまう。そして「新吉、お前の」のエロチシズムは絶品

2018/11/23

あも

あわいという言葉が好きだ。友人と恋人のあわいの時期。昼と夜のあわい。現実と夢幻のあわい。湖の真ん中にポタリと垂らされた滴がじわりと広がり湖を別の色に染めてゆく。取り返しの付かない事象がゆっくりと目の前で展開していく不安の中にかそけく息づく昂揚。陶酔と耽溺。目の前を流れては消え、また流れる白と黒の物語たちに溺れずにいられようか。こちらとあちらが溶け混じり合うかわたれの時が来る。垂らされた一滴が心を浸食する毒だと気付いたときにはもう遅い。湖すべてに染み渡った時、現れるのは闇を溶かす漆黒か、目を眩ませる純白か。

2019/05/16

jam

紡がれる章の断片に世界を宿し、果ては見えない。いずれもが間(あわい)を描く。一瞬、自分の眼でみているものがわからない感覚。するりと入り込まれる違和感。信じているものが根底から崩れていく。しかし、それを知っている。考えないように、見ないように、閉ざしているだけ。世界の成り立ちの法則を人は求め続けているけれど、人智が届かないものは、確かに在る。だから、世界は美しく残酷で、物語を必要とするのだろう。皆川は、わずか数行で世界の創造主になり、統べる。

2019/01/30

aquamarine

一枚のイラストをもとに書かれたたった一ページの掌編。冒頭に配された表題作が私の息を止めた。2編目のお話ですでに私は夢と現のはざまにいる。なんて素敵なひと時。最後の一文にまで細やかに気を配り、視点が変わると物語の見え方や真実までも変えてしまう。人のしぐさや気持ちの描写が涙が出るほど美しく、少しホラーだったり幻想だったりする置いてけぼり感がさらに私を虜にする。勿体なくて少しずつ読み進めた数日。本当に幸せな時間だった。どれも色が違って素晴らしいが、特にお気に入りは「夜、囚われて...」「笛塚」「新吉、おまえの」

2019/02/27

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