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銀閣の人

銀閣の人

銀閣の人

作家
門井慶喜
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-09-02
ISBN
9784041072356
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銀閣の人 / 感想・レビュー

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鉄之助

銀閣をつくった足利義政の人生を、ユニークな角度から掘り下げた1冊だった。政治的には”無能”というイメージが強い義政は、「文化の力で政治に勝つ」と、東山の地で審美眼を以て世をおさめる! 「わしの才は、目の才じゃ」とも彼は言う。他人に創らせ、それを評価する能力に恵まれた義政が生き生きと描かれていた。「銀閣」は、実は銀を貼らずに”銀”をあらわした建物だったことにも驚いた。そこには、現代の日本人にも影響を与えている”侘び”の境地が、ここから始まっていることが強く感じられて面白かった。

2023/01/08

starbro

門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。足利義政も銀閣も知ってはいますが、その物語を読むのは初めてです。 応仁の乱の最中、凄まじい人生をおくりながら、銀閣建設の執念見事でした。但し、私はわびさびも知らない無粋な人間なので、金閣寺の方が好きです(笑) https://www.kadokawa.co.jp/topics/4765 本書で9月は読了です。区切りの3,000件目のレビューとなりました。

2020/09/30

旅するランナー

足利義政が銀閣を建てる、ギンギンカクカクな小説。ギンギンに熱く、建築様式・侘び寂び・前後五世代の将軍・日野富子との夫婦関係が語られます。門井氏の知識を、ギンギラギンに惜しげなく教えてくれます。ところが、そのためか、ストーリーの流れがカクカクぎこちない。そこが、ちょっと残念です。でも、永遠の人間、永遠の政治はあり得ないが、永遠の文化ならあり得る、政治で負けて文化で勝つという、義政のポリシー。それによって生まれた銀閣が僕らの時代にまで影響を与える、この男の先見性は、金閣以上にギンギラギンに輝いてます。

2020/10/22

シナモン

現代の和風住宅の元にまでなった同仁斎。意識はしてなくても確かに日本中には「銀閣の人」があふれているのだろう。「政治で負けて文化で勝つ」その思いを胸に今ではなく何百年後を見据えて銀閣寺建立に執念を燃やした義政。歴史ロマンあふれる一冊でした。これをふまえて…あ~銀閣寺に行きたい!

2020/10/06

とん大西

あるいは征夷大将軍でなければ、後世の評も少々違ったかもしれない。新進気鋭の室町文化人として。だが私達は英雄を求めている。英雄をあきらめた人、その望みすら抱く術がなかった人-室町幕府八代将軍足利義政。妻・日野富子と共に応仁の乱の元凶とも目された愚昧な為政者。日本史の中でもとくに複雑な時代、難しい人物によくぞフォーカスしてくれたと思います。将軍ながら屈辱の日々の義政。厭世的だが決して愚かではなく、むしろ秀才の部類。ただ、変革し始めた時代が彼を英雄にさせなかったのか。銀閣の人、義政。等身大の孤独が切なくも見事。

2020/09/28

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