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里山奇談 あわいの歳時記

里山奇談 あわいの歳時記

里山奇談 あわいの歳時記

作家
coco
日高トモキチ
玉川 数
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-10-31
ISBN
9784041081914
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「里山奇談 あわいの歳時記」のおすすめレビュー

「おおいおおい」の呼び声に振り返ってはいけない…恐怖と郷愁の不思議な里山怪談ショートショート

『里山奇談 あわいの歳時記』(COCO、日高トモキチ、玉川数/KADOKAWA)

『里山奇談 あわいの歳時記』(COCO、日高トモキチ、玉川数/KADOKAWA)は、「怖さ」と「郷愁」が感じられる、なんとも不思議な小説だ。

 2、3ページほどのショートショート作品がいくつも収録されている本作。春、夏、秋、冬に区分されており、それぞれの四季を感じられるお話が詰まっている。ゾワッ……とするものから、じんわり胸が熱くなるような「いい話」まで。小説らしいものから、伝聞伝承、実体験(ノンフィクション)のような雰囲気のものまで、作品は実に様々だ。

 けれど、夜中トイレに行けなくなるような恐怖ではないし、気分を害するほどの後味の悪いホラーでもない。なので、そういうおどろおどろしい恐怖小説は苦手だけど、ちょっと怖い物語を読んでみたいという方でも安心して読めるのではないだろうか。

 もちろん、根っからの怪談好きが物足りなさを感じる一冊ではない。怖さ不気味さはしっかりあり、むしろその味わいを「やや変化球の怪談」として楽しんで読んでもらえると思う。

「いい話」の中に、怖さを感じ…

2020/2/1

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里山奇談 あわいの歳時記 / 感想・レビュー

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HANA

シリーズ三冊目。怪談ではなく奇談、山川草木に纏わる奇妙な話を集めているのだが、どの話もとても優しい。春夏秋冬、季節の流れとそこに息づく生き物たちの生態。それが過ごした事のある遠い日々と我々が失ってしまった何かを連想させ、ここで語られているような奇妙な話も、そういう事もあるかな。とストンと納得させられる気になる。「おいぬ好かれ」「玉かんざし」「おしらさま」等、この世界のすぐ横に幽冥界があるという怪談は多いが、やはりここではそれがとても優しい。幼き時に過ごした日々を思わせるノスタルジアに満ちた一冊でした。

2020/05/17

クプクプ

昆虫の愛好家が書いた本。私も虫屋なので、本を読み進めていくうちに、自分の中の懐かしい感情が引き出されました。遠い日の昆虫採集の仲間との思い出、ひとりで車で野宿したことを思い出しました。「ランドセル」子供の頃、クワガタのメスをブーチンと呼んだことを思い出しました。「ユスラウメ」ユスラウメの名前の由来の奥の深さに驚きました。「横切る蛇」ヤマカガシを題材にした不思議な話。この三つが秀逸でした。昆虫愛好家のライフスタイルを知るのに最適な本です。

2019/12/12

澤水月

玉かんざし、鳥の墓…先の戦争の無念な思いと温かい人情との混ざる二話が印象的。おいぬ好かれ、予想外ラストに胸が…。全体に大変読み応えある生き物好き達が体験・見聞きした野山での奇談集第3弾。もしかしたら3弾目に取り掛かれるほどネタがなく、興味も失せてる書き手いないだろうか?理屈を述べ立てて字数稼ぎ結局あまり「奇」がなかったり、単に蘊蓄述べるだけだったり。それを他の人が補うとか抜けてもらうわけにはいかないのかな…本はいいのに濁り水ある印象

2019/11/29

みんち

フィールドワークによる生き物観察という共通の趣味を持つ三方が、それぞれに聴き込んだ、或いは自らの体験による、ちょっと不思議でちょっと薄ら怖ろしく、それでいてどこか懐かしいような温かさを感じる物語の、待望の新作が登場。というワケで、coco氏・日高トモキチ氏・玉川数氏による共著『里山奇談~あわいの歳時記~』を読了。気付けばシリーズも早三冊目、正直こんなにロングセラーに続くシリーズになるとは思わなかったものの、それでも新作がと聞くと楽しみに待ち侘びている自分がいる。これからも定期的に書き綴っていって戴きたい。

2019/11/09

ぶうたん

このシリーズは初めて読んだが、怖い話はほとんど無くて、怪談より民話に近いような。奇談でもなく普通の話も散見されるし。ちなみに本書では人間以外の生き物をフィーチャーしているようだった。後書きにもあるように、大人になると子供の頃の生き物、特に虫とか、との距離感が失われるから、余計に新鮮に感じるところはあるかもしれない。

2019/11/21

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