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ラストナイト (角川文庫)

ラストナイト (角川文庫)

ラストナイト (角川文庫)

作家
薬丸岳
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-08-23
ISBN
9784041082898
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「ラストナイト (角川文庫)」のおすすめレビュー

顔中に豹柄の刺青。特異な容貌で犯罪を重ねる男の秘めた“死命”とは――

『ラストナイト』(薬丸岳/KADOKAWA)

 薬丸岳さんといえば、2018年に映画化された『友罪』でも脚光を浴びた作家。薬丸さんが手がける強烈な印象の作品には、人生の光と影が描かれている。本作『ラストナイト』(KADOKAWA)もそうだ。読者である私たちは彼の作品を通じて人生の歩み方や尊さを学ぶのだ。

■顔に豹柄の入れ墨――男はなぜ罪を犯し続けるのか?

 主人公・片桐達夫は59歳の初老の男。びっしりと顔に彫られているのは、豹柄模様の入れ墨。周囲に、威圧感と恐怖を与える。これまでに4度の服役を繰り返し、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた片桐は、5年の服役を終え、シャバに出た。

 出所した片桐が向かったのは、友人の菊池が営む居酒屋。仕事中の事故で片手が義手になり、しかもどこか動物園の獣を思い起こさせるような独特な雰囲気の片桐を、周囲は厄介者だと思っている。しかし、菊池はどうしても片桐のことを根っからの悪人だとは思えなかった。なぜなら、片桐が初めて罪を犯したのは、菊池の妻を暴力団員から守るためだったからだ。

 一時は結婚し子どもにも恵まれた片桐はその事件を…

2019/9/1

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顔中に豹柄の刺青。特異な容貌で犯罪を重ねる男の秘めた“死命”とは――

『ラストナイト』(薬丸岳/KADOKAWA)

 薬丸岳さんといえば、2018年に映画化された『友罪』でも脚光を浴びた作家。薬丸さんが手がける強烈な印象の作品には、人生の光と影が描かれている。本作『ラストナイト』(KADOKAWA)もそうだ。読者である私たちは彼の作品を通じて人生の歩み方や尊さを学ぶのだ。

 主人公・片桐達夫は59歳の初老の男。びっしりと顔に彫られているのは、豹柄模様の入れ墨。周囲に、威圧感と恐怖を与える。これまでに4度の服役を繰り返し、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた片桐は、5年の服役を終え、シャバに出た。

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ラストナイト (角川文庫) / 感想・レビュー

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三代目 びあだいまおう

妻と娘への純粋な愛が生んだ執念なのか、私にも重くのし掛かってきた。30年以上犯罪を繰り返し刑務所暮らしを重ねてきた男、その顔面は豹柄の刺青で覆われている。刑務を終え立ち寄った居酒屋。男が来た途端他の客は全員散るように帰って行った。地元で有名な凶悪男の話が5話5人の視点で描かれる。存在を恐れられながらも罪を重ねる凶悪男。私は命を懸けてでも守りたいものがある。家族。でも作中人物の前では命を懸けてさえ守れる気がしない!常軌を逸した悪党には我が命など何の壁にもならない!衝撃の結末、あぁ、全章のリンクに圧倒‼️🙇

2020/08/15

イアン

★★★★★★★★☆☆2023年の締めは薬丸岳の長編。顔面に刺青を入れ、出所と同時に再犯を繰り返す男・片桐。周囲から蔑まれ孤立する彼の胸にはしかし、執念というべきある思いがあった…。旧友や元担当弁護士など片桐を取り巻く5人の視点からその人物像や過去を解き明かしていく。なぜ男は異端に身を堕とし、罪を繰り返すのか。同じ場面を視点を変え描くケースが散見されるが、その時点での情報量により感じ方が大きく変わるのが面白い。そして何より、この骨太のヒューマンドラマを僅か245ページで描き切っていることに驚きを禁じ得ない。

2023/12/30

三代目けんこと

最後の夜、罪を重ねる男の、その理由を知ったとき…、くやしくて、切なくて、本当にくやしくて、本当に切なくて……。これ以上、言葉にできない…。読んでみて下さい。

2021/09/08

小説を最初に書いた人にありがとう

安定の薬丸作品。今作は珍しく少年犯罪物ではなかったが、罪とは罰とはと考えさせられるテーマなのは通底している。今回の主人公の片桐は顔中に豹柄の刺青をして犯罪を繰り返し刑務所を行ったり来たりしている。なぜそんなことをしているのかが分かる後半に驚かされた。最後に荒木がもう一歩踏み込んで読者をスッキリさせてほしかった。

2019/09/01

りゅう☆

片桐は菊池の妻を守るため傷害事件を起こしてしまった。家族を持ちささやかな幸せを掴んでいたのに。なぜ彼はその後、顔に刺青を入れ犯罪を繰り返すのか?彼を以前弁護した中村は片桐の娘ひかりとの接触を試みる。もう犯罪を繰り返さないと誓ったはずなのに…。その片桐を追う荒木の正体とは?ラスト5日間を菊池、中村、ひかり、訳あり女性絢子、荒木視点で進む。そしてなぜ片桐が犯罪を繰り返すようになったのか、彼の決断を知った時、猛烈な悲壮感が漂った。憎み許せないのはただ一人。自分の人生をかけて妻を愛し抜いた片桐の思いが深く切ない。

2021/09/05

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