KADOKAWA Group

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今日も町の隅で

今日も町の隅で

今日も町の隅で

作家
小野寺史宜
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-02-28
ISBN
9784041083031
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「今日も町の隅で」のおすすめレビュー

最愛の妻の元カレが我が家にやってきて…!? 本屋大賞2位の『ひと』や『まち』で人気の小野寺史宜が織りなす初の短編集『今日も町の隅で』

『今日も町の隅で』(小野寺史宜/KADOKAWA)

 小野寺史宜さんの書く小説はすべて、同じ地平で繋がっている。出てくる土地の名前が単に共通しているから、ではない。同じ電車に乗り合わせた名前も知らない人々は、自分とかかわりのない場所であたりまえに日常を紡ぎ、無数の人生を描いている。誰しも一度は思いを馳せたことがあるであろうその不思議さを、物語を通じて描いているのだ。初の短編集となる『今日も町の隅で』(KADOKAWA)は、まさにそういう小説だった。

 主人公は11歳から42歳までの、「みつば」という町に生きる人々だ(片見里、という地名もときどき登場していて、どちらもこれまでの作品で描かれている町だ)。空気の読めない転校生のせいでクラスメートから浮いてしまい、小学校に行けなくなった女の子。両親の離婚で転校する同級生と、最初で最後のデートをする男子高生。落選続きでうだつのあがらない作家志望のアルバイトが、1万円を拾って届ける話。短編であるがゆえに、そのひとつひとつはこれまでの作品以上にとてもささやかだ。その一瞬で、人生が劇的に変わることもない。けれどささ…

2020/3/1

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今日も町の隅で / 感想・レビュー

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ウッディ

東京郊外の蜜葉市の住民の日常のひとコマを描いた短編集。 辛い想いや嫌な想いをしているのに、それを表に出さないだけでなく、悪意なく放つ自分の言葉が誰かを傷つけていないかとおどおどしながら生きている人々、小野寺さんの小説にはそんな優しい人たちが溢れていて、癒されます。愛する妻の元カレを家に泊めてあげることで夫婦の愛情が深まる「ハグは十五秒」、電車に乗れなくなった妻への優しい気持ちを描いた「君を待つ」が面白かった。優しく、真面目に生きている人には幸せになってほしい、そんな願いが込められているような気がします。

2020/06/07

いつでも母さん

『ひとの希望がまちを灯す』もう・・これはあの小野寺さんの10話からなる短編集。想像通り?優しく私を包んでくれた。特別なことはなくたって、暮らしているってことはそれだけでその本人には特別なことなんだ。人は一人では生きていない。出会い・別れ・選択・・そんなことの積み重ねで出来ているよね。好みは『君を待つ』『ハグは十五秒』『カートおじさん』

2020/03/24

kotetsupatapata

星★★★☆☆ 東京近郊の「蜜葉市」を舞台に、どこにでもありそうな話をまとめた短編集。 人生時にはつまづき立ち止まり、過去を振り替える事もあるけれど、それでも明日に向かって歩いていく、大袈裟な感動は受けないものの、ほんわかとした読後感でした。 今作は「離婚」が裏に潜んでいるような作りでしたが、暗い雰囲気は無く、むしろ清々したぐらいの気の持ちような登場人物。 個人的には、ほぼ同世代の「ハナダソフ」が一番印象に残りました 『腐っても鯛 太ってもクレオパトラ』は名言✨

2020/06/24

シナモン

図書館本。蜜葉市に暮らす普通の人達の日常を描く短編集。高校野球の応援、同窓会、学校の面談…ごく普通の光景が懐かしく感じる。当たり前のように送っていた日常のありがたさ。小野寺さん独特の文章も読みやすく、読後感あたたかな一冊でした。「君を待つ」「カートおじさん」がお気に入りかな。

2020/04/14

utinopoti27

売れない作家、初めてのデートに戸惑う男子高校生、レジ打ちのおばさん、妻の元カレを自宅に泊めてしまう気の弱い夫・・。都心近郊のベッドタウンに息づく人々の何気ない日常。本作には、時に微笑ましく、時にほんわり暖かく、時に切なくほろ苦い人生の断片が、ささやかな起伏を伴って綴られている。けして恵まれた境遇ではないかもしれない。うまくいかないことの連続かもしれない。けれど誠実に生きる、歯を食いしばって前を向く。この短編集は、そんな人たちの生き方をそっと見守り、やさしく肯定してくれる【心のサプリメント】なのだと思う。

2020/11/18

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