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臨床真理 (角川文庫)

臨床真理 (角川文庫)

臨床真理 (角川文庫)

作家
柚月裕子
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-09-21
ISBN
9784041083116
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「臨床真理 (角川文庫)」のおすすめレビュー

暴走する趣味嗜好…知的障害者更生施設で巻き起こる狂気――人気ミステリー作家が描く問題作!

『臨床真理』(柚月裕子/KADOKAWA)

 人には趣味嗜好がある。迷惑をかけない範囲で楽しむ間は、はたから見て微笑ましく、尊重すべき個性でもある。しかしそれが好ましくない範囲まで広がれば、他人に迷惑をかけることになり、当人も社会で生きづらさを感じる。

 そして趣味嗜好が“許されない範囲”まで広がったとき――暴走する感情は誰にも止められなくなり、やがて狂気を帯びるようになる。

『臨床真理』(柚月裕子/KADOKAWA)は、2009年に刊行された人気ミステリー作家・柚月裕子氏のデビュー作だ。「佐方貞人」シリーズ、「孤狼の血」シリーズはすべてベストセラー。2019年に文庫化された『慈雨』は20万部を超える大ヒット。まさしく柚月氏の作品は、ミステリー好きならば絶対に押さえるべき、というより押さえないと恥ずかしい、ミステリー小説界の第一線級にあたる。

 本作のあらすじはこうだ。知的障害者更生施設に入所していた16歳の少女、水野彩が自殺で死んでしまう。しかし同じく入所していた青年、藤木司は妹のように親しくした彩の死を「殺人だ!」と主張する。

 強制的に医療機関に入…

2019/11/1

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臨床真理 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

bunmei

女流作家とは思えない、事件の裏側を抉り取る展開や過激なバイオレンス描写で、息詰まるミステリーを描く、柚木作品。その原点となったデビュー作。知的障害者更生施設で起きた少女の自殺事件の謎を巡って、少女が慕っていた特殊能力を持つ司と司の臨床心理を担当した美帆が、真相に迫っていく。強引な正義感を振り翳し、突き進んでいく美帆の言動は、行き過ぎでリアルさに欠くが、その調査で見え隠れしてきたのは、権力者どもの醜い欲望の実態。しかし、そこで終わらず、更に醜悪な犯人に辿り着く展開と描写こそが、柚木作品の醍醐味なのだろう。

2021/01/12

mariya926

柚月裕子さんのデビュー作。読みたかったけど図書館では5年以内でないと買って貰えないので諦めていましたが、なんと角川書店で新しく発売されたので読めました!これがデビュー作なんて!!というのが読了感です。臨床心理士の美帆に関して、これは司には今は言ってはいけないんじゃない?とか、早く逃げないとと思ったことはありましたが、それでも完成度は高いです。それにしても彩は可哀想です。司と幸せになって欲しかったな。障害者施設の事件はたまにニュースになりますが、弱者に対する犯罪は明るみになるのが難しいですね。

2019/12/09

鍵ちゃん

人の感情が色でわかる「共感覚亅を持つという不思議な青年、藤木司を担当する事になった、臨床心理士の佐久間美帆。知的障害者厚生施設に入所していた司は、親しくしていた少女、彩を喪ったことで問題を起こしていた。彩は自殺ではないと主張する司に寄り添うように、美帆は友人の警察官と死の真相を調べ始める。だがやがて浮かび上がってきたのは、恐るべき真実だった。最初から最後までハラハラドキドキの展開で面白かった。これがデビュー作という柚月裕子さんは恐ろしい。

2020/11/16

TAKA

共感覚。特殊な能力を持つ人を題材にしたサスペンス。あまり知られてない故に特殊すぎて中々信じてくれる人はいないだろうな。障がい者に見られてもおかしくない。知的障がい者施設による裏側の暗部にメスを入れた本作。こういう施設は結構存在しているだろうな。弱者が強者には逆らえない風潮がここ数年のうちにまた元に戻ってきた感はある。これこそ忖度。高城の性癖は結構ヤバい。なりよりも主人公に好感を持てなかったなあ。柚月さんデビュー作とは思えないです。

2021/06/08

紫陽花

最近よく読む柚月さんのデビュー作。知的障害者更生施設を舞台にした作品です。そういえば柚月さんは福祉関係、社会的弱者を背景にした作品がいくつかありますね。この世界のことをよく勉強されている気がします。あと、柚月さんの本は力強さというか、どんどん人を惹きつける強さを感じます。面白かったです。

2020/09/04

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