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忌まわ昔 (角川ホラー文庫)

忌まわ昔 (角川ホラー文庫)

忌まわ昔 (角川ホラー文庫)

作家
岩井志麻子
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-06-14
ISBN
9784041084267
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『忌まわ昔』(岩井志麻子/KADOKAWA)

 いろんな女と暮らした。でも、結婚しようとなったのはあの子だけだ。あの子も、俺ほどじゃないけど恵まれない家庭環境で、親兄弟との縁も薄かった。  あの子はパチンコ店に住み込みで働いていて、俺も内勤スタッフに雇われた。同僚達は互いの仕事や過去を詮索もしないし、問題にするわけはない。  そんな二人で、一緒に暮らしてみることになった。しばらくは、本当に楽しく満ち足りていた。幸せな家庭ってのは平凡な家庭ってことなんだなと、しみじみ感じた。  だけど、なんだろう。俺を生み出した奴らのせいにする気はないから、変な血が騒いだといってしまおう。  店に営業で来た芸人が呼んでくれた合コンに、けっ…

2019/7/10

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『忌まわ昔』(岩井志麻子/KADOKAWA)

 この女はいつの間に、そういう綿密な計画や用意周到な犯罪が行える知識や実行力を身につけていったんだろう。必死に学んだのではなく、生き抜いていくうちに自然と備わったのかもしれない。  しかし本人の物心がつかないうちのあれこれに罪はないとしても、大人になった後は死刑になってもおかしくないことを自覚的にやらかしてしまっている、あの女は。  警察は妻となっている女を容疑者と断定して指名手配しようとしたが、これまた戸籍と別人なのがわかる。スナックの雇われママと、戸籍上の女はまったくの別人。  戸籍の女と近しい親族を探し当て、スナックのママの髪の毛などでDNA鑑定をしたら、血縁関係はいっ…

2019/7/9

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忌まわ昔 (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー

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★Masako★

★★★+ 久しぶりの岩井さん♪ 今昔物語をベースに舞台を現代に置き換え、人間の業や闇を描いた怪談集。ページ数はそれほどでもないが、一話一話が濃密で不穏、結構読み応えがある。話の冒頭にベースになった説話の一部が載っているのも効果的。怖いというよりは、まさに忌まわしい話ばかり。新シリーズの一作目。今昔物語は1000話以上からなるそうなので、長いシリーズとなるのかな? ちょっと追いかけてみたくなった♪

2019/09/16

Bugsy Malone

お気に入りさんに教えてもらった本。岩井さんを読むのは「ぼっけえ、きょうてえ」以来です。今昔物語に現代の実話を当てはめた物語が10編。嫌ァな話が多くて嫌だ嫌だと思いながらも次の話が気になって、ついつい最後まで読んでしまいました。なんだかシリーズ化されるそうで。嫌だなあ。でも買っちゃうんだろうなぁ。

2019/10/02

タイ子

サクサクと読了。面白うてやがて悲しき、いや恐ろしき物語りかな。今も昔も人間の本能って変わりゃしないのね。今昔物語の現代語訳版を以前少し読んだことあるけど結構エロいんですよね。子供が夏休みに感想文を書こうと読もうものならご両親様、他のご本をお薦め下さいませ。それにしても今昔物語によくぞ併せた物語をと感心しきりでございます。まだまだ始まったばかり。忌まわしき今昔の愚かな人間模様を続々と蘇らせて下さいませ。読友さん、お薦めありがとう!

2019/07/23

ケイト

今昔物語を現代風にアレンジして、どす黒い思惑が飛び交う10編の短編集。兎が炎の中に身を投げる話を、団地内で起きた内職主婦の自殺話に持っていく作者の筆致に驚く。今昔物語はどれもこれもジメッとして陰惨な話だけど、現代の事件にも通ずるような·····ベランダから侵入して来た泥棒に対し踊り狂う女の話は笑えた。以前メディアでお見かけした妖しおかし(褒めてます)岩井さんの姿を思い出す。

2021/06/16

眠る山猫屋

真っ黒な空気に染め上げられるような、異様な世界は実はすぐ傍に。見えるとか見えないとかではなく、恐ろしいものは自分の中にもあるのかな。『今昔物語』をベースに、現代に蘇った怪異譚はどれもおぞましいが、逞しく生きて除ける者も、また。怪異なんかより、生き抜く人間の強かさにこそ、見る側の人間には恐ろしく映るのかな。女豹・岩井志麻子先生、やはり侮り難し。凄まじいまでのダークフォース。悪酔いしましたぜ。

2021/09/07

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