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コープス・ハント

コープス・ハント

コープス・ハント

作家
下村敦史
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-01-31
ISBN
9784041089040
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「コープス・ハント」のおすすめレビュー

「真犯人の遺体を隠した」――殺人鬼の告白に騒然! あなたは“本当に”この事件の真相を見抜けるか?

『コープス・ハント』(下村敦史/ KADOKAWA)

 文章を書くとき、SNSの力を借りることは多い。たとえば、恋愛について記事を書くとき。検索欄に「恋愛」と打ち込むと、それにまつわる個人の意見がいくらでも読める。インタビューをするときも同様だ。検索をかけるだけで、対象者の経歴や仕事、周囲の評価や不祥事まで、あっというまにわかってしまう。SNSは、わたしたちの情報収集を便利にし、他人とのコンタクトを容易にした反面、広めたくないことでも瞬時に拡散するという危険をもたらした。便利な道具が、人を社会的に殺しもするのだ。

『コープス・ハント』(下村敦史/ KADOKAWA)に登場する刑事・折笠望美も、そんな道具を便利に使い、また鋭利な刃に刺されたひとりだ。

 望美は、とある連続殺人事件の捜査に関わっていた。が、捜査本部の考えとは別に任意同行した狡猾な被疑者に、「取調室で暴行を受けた」とSNSで訴えられて炎上、休職を余儀なくされている。

 その日、望美がいたのは裁判所。望美が捜査結果に違和感を覚えている連続殺人事件の判決が言い渡されるのだ。被告人席に座るのは、美貌…

2020/2/6

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コープス・ハント / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

鉄之助

コープスとは、遺体の意味。若者たちが、ひと夏の「遺体探し」の旅に出るサスペンスだった。『スタンド・バイ・ミー』みたいで、設定は面白い。女性警察官が、一人で犯人たちに挑む場面はスピード感があって、読ませるが、ほかの登場人物の心理描写にはちょっと違和感。あまり入り込めなかった。

2021/05/07

しんたろー

連続殺人犯の裁判時の告白から始まり、刑事・望美の捜査と、YouTuber・宗太たち三人による『スタンド・バイ・ミー』のような死体探しの旅、二つの物語が並行して描かれる…リーダビリティの高さでスイスイ読めるし、飽きない展開は面白いが…初期作にあった「熱さ」が感じられないのが寂しい。エピローグにその片鱗はあるが、主役の一人である望美の心情が薄くて彼女に乗れないのは、著者の弱点そのもの。宗太の成長譚と捉えれば悪くはないが、トリックも終盤前に見えて残念。期待の作家さんだから辛口になったが、引き続き頑張って欲しい。

2020/03/18

旅するランナー

猟奇的連続殺人犯、ユーチューバー、謎の美少女、孤立無援な女刑事、半グレ、真犯人、遺体探し、拉致...ミステリーな設定が散りばめられています。まあ、世間を舐めくさった若者たちの話がかったるいなぁと感じますけど、途中から、あちゃー、そう来るかぁって、下村テクにやられます。そして、正義の追求や悪の断罪の危うさにまで突き詰めていく、下村ワールドの面白さに、SAY YES!としか言いようがないです。

2020/04/04

いつでも母さん

『あなたは「彼」を断罪できるのかー表面的なそれらしい要因で分けてしまえるほど、人と人はちがわない。』自分だけは違うと胸を張って言えるか?私。刑事・望美が追う事件の真相と、遺体捜しのユーチューバーの時間軸がどこで交差するのかじりじりしながらページを捲った。そしてたどり着いた❝歪んだ真実❞に私は自問自答するしかない。世間とか、匿名の糾弾とか・・今回も考えさせられた。

2020/02/17

パトラッシュ

「時間差トリック」で読者を翻弄するなどエンタメとしてはベストだが、小説として見ると納得のいかない部分が多い。下劣な人間たちは徹底的に下劣で、名前が違うだけで書き分けができていない。家庭に問題を抱える子供たちが集まって冒険に出るというパターンも、使い古されていて今さらだ。殺人犯の極度にエキセントリックな性格の毒母はエド・ゲインの母に似すぎているし、職業が大学教授という設定には無理がありすぎる。山田詠美さんなら母親が異常性格者になった原因と、息子に歪んだ教育を施して殺人者として成長していくまでを描いただろう。

2020/02/22

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