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甘夏とオリオン

甘夏とオリオン

甘夏とオリオン

作家
増山実
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-12-12
ISBN
9784041089125
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答えは、落語の中にある。女性落語家・甘夏をめぐる下町人情譚『甘夏とオリオン』【増山実インタビュー】

「落語の中にはアホがいる。噺家になったら、心置きなくアホを演じられる」──偶然入った寄席で落語に魅了され、大学を中退して桂夏之助に弟子入りした甘夏。だが、3年ほどたったある日、師匠が突然失踪。甘夏とふたりの兄弟子・小夏と若夏は、夏之助の帰りを待ち、深夜の銭湯で「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を開くが……。

増山 実 ますやま・みのる●1958年、大阪府生まれ。放送作家を経て、2012年に「いつの日か来た道」が第19回松本清張賞最終候補に。改題した『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』で13年にデビュー。同作で第4回大阪ほんま本大賞を受賞。他の著書に『空の走者たち』『風よ僕らに海の歌を』『波の上のキネマ』がある。  

 増山実さんの新作『甘夏とオリオン』は、女性落語家・甘夏と彼女を取り巻く人々の喜怒哀楽をすくい取った物語。あちこちに頭をぶつけながらも、ひたむきに生きる甘夏の姿が瑞々しい感動を呼ぶ一作だ。 「最初に思いついたのは、主人公の名前でした。5年ほど前、神戸の六甲道でたまたま甘夏食堂という店を見つけて。『甘夏ってええ名前やな。キ…

2020/1/18

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甘夏とオリオン / 感想・レビュー

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タイ子

登場する落語ネタの多さに上方落語ファンとして私はまだまだだと思ってしまう。そりゃ、全部のサゲまで言えたらこの私今頃は落語家の端くれになってるかもです。物語の冒頭から師匠が失踪した!と始まるわけで、失踪の理由とかを笑いにもっていくのかなと思いきや、そこは「波の上のキネマ」の増山さんです。残された3人の弟子のうち一人が女性落語家の甘夏、彼女を中心に物語は展開する。駆け出しの甘夏が女性落語家であることの難しさ、兄弟子たちとの交流を通じて師匠の帰りを待つという切なさや愛おしさがいっぱい詰まった作品。いいな、落語。

2020/02/09

buchipanda3

とにかく軽妙な大阪弁の掛け合いが心地いい人情味溢れる上方落語物語。舞台は現代の大阪、今でもまだ珍しい女性の噺家として歩み出した甘夏の泣き笑い人生修行ぶりを楽しめた。ネタ噺も満載なのがいい。話は冒頭から大変な事態。そこは落語家たち、ひねりの効いた事を始めるが…。女の落語家では笑えない、今でもそんなことをと思ったが、ネタの変遷から来る背景を知り女性の噺家の大変さを理解した。師匠たちのいい落語とはの一家言はどれも納得。いい落語は聴いた人の心のすき間を埋めてくれる。落語ってやっぱいい、読み終えて改めてそう思った。

2019/12/21

みかん🍊

ノスタルジックな装丁だが現代小説だ、大学在学中にたまたま観た落語に魅せられ中退し弟子入りして3年、ある日突然師匠が失踪する、兄弟子と3人で師匠を待ちながら落語の修行、人情ある大阪の街や落語の話を織り交ぜられた作品、男社会で女が落語する事の難しさや師匠の弟子を思い掛ける温かくも厳しい言葉、落語はただ喋るだけでなく、ないものをまるでそこに存在するかのように演じる芸である。昔教科書に載っていた水俣の話がまだ現代でも差別対象になっていて辛い思いをしている人が居るとは知らなかった、無知は罪やでの言葉が沁みました。

2020/02/27

fwhd8325

上方に桂二葉さんという若手の女流噺家さんがいます。増山さんがこの小説を書くにあたって、二葉さんも協力されたと聞いています。そんな先入観があり、二葉さんをイメージして読みましたが、これが見事なくらいぴったりです。二葉さんの落語を聴いてから読んでも面白いかもしれません。物語は、主人公の甘夏さんが、噺家として成長していく姿が爽やかに描かれています。「頑張れ!」と心の中で応援しながら堪能しました。読み終えると無性に落語を聴きに行きたくなります。

2020/01/11

ゆみねこ

駆け出しの女性落語家・甘夏は大阪の下町・玉出の銭湯に居候の身である。ある日師匠の夏之助が失踪、一門を守るため2人の兄弟子と共に深夜の銭湯で「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことに。ゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見、兄弟子たちの抱えているもの。落語をよく知っていたらもっと楽しめたかもしれないが、甘夏の成長譚としても面白かった。ところで師匠はどこへ?

2022/12/08

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