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傷痕のメッセージ

傷痕のメッセージ

傷痕のメッセージ

作家
知念実希人
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-03-12
ISBN
9784041094099
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「傷痕のメッセージ」のおすすめレビュー

胃壁に刻まれた暗号、28年前の〈折り紙殺人事件〉――。病理医が遺体から聞き取った想いとは? 知念実希人が贈る医療×警察ミステリー!

『傷痕のメッセージ』(知念実希人/KADOKAWA)

 医師の仕事と言えば、まず思い浮かぶのが診察と治療だろう。しかし、中には患者と直接顔を合わせることのない医師もいる。彼らは病理医。主な職務は、検査や手術で採取した細胞を観察し、病理診断を下すこと。例えば、採取した細胞が癌かそうでないか見極めるのも病理医の仕事だ。また、時には病死した患者の遺体を解剖することもある。基本的に患者と接することはなく、顕微鏡を覗き込んでいる時間のほうが圧倒的に長い仕事である。

 知念実希人さんの新作『傷痕のメッセージ』(KADOKAWA)は、そんな病理医が活躍するミステリー。解剖した遺体からさまざまな情報を得るだけでなく、死者の想いをもすくいあげる病理医ならではの謎解きを堪能できる。

 外科から病理部に出向した水城千早には、末期癌により余命いくばくもない父がいた。母を亡くしてからは、不器用な父・穣との間に壁が生じていたものの、なんとか歩み寄ろうと試みる千早。だが、心が通い合ったように感じたのもつかの間、穣は娘に対し、思わぬ言葉を投げつける。「たんに血が繋がっているからと…

2021/3/12

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父はなぜ胃壁に暗号を残したのか? 死者の思いに迫る病理医×警察ミステリー《知念実希人インタビュー》

知念実希人 ちねん・みきと●1978年、沖縄県生まれ。日本内科学会認定医。島田荘司選 第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、2012年『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『祈りのカルテ』『ムゲンのi』『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』「天久鷹央」シリーズなどがある。

 病院には、患者と直接会うことのない医師がいる。彼らは診察をしなければ手術もしない。主な仕事は、患者から採取した細胞や組織を顕微鏡で観察し、病理診断を下すこと。時には患者の遺体を解剖し、治療の妥当性を検証したり、医学の発展に役立てたりすることもある。医療現場に欠かせない縁の下の力持ち︱それが病理医だ。 「ミステリーでおなじみの法医学者は、犯罪に巻き込まれた方の死因を司法解剖によって究明します。一方、病理医が行うのは、病死された方の解剖。とはいえ、メインの仕事は解剖ではなく病理診断です。例えば、採取した細胞が癌かどうかを診断するのも病理医の仕事。外科手術を行うような総合病院には、多くの場合、病理医が常駐しています」  新作『傷痕のメッセージ』…

2021/4/7

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傷痕のメッセージ / 感想・レビュー

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starbro

知念 実希人は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、医療警察ミステリ、多少設定に無理はありますが、最後までスリリングに一気読みしました。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/5553

2021/04/22

ウッディ

かつて刑事として連続幼女絞殺事件を追っていた父、医師として父の病理解剖に立ち会った千早は、胃壁に遺されたメッセージを見つける。医療知識を用いたミステリーで、28年前の事件が迷宮入りした理由、そして生前は心を通わせることができなった父と娘の間に存在した確かな絆は読み応えがあったのだが、胃壁に文字を刻んだり、遺体の声を聴くといって、事件の捜査にまで乗り出す病理医の紫織のキャラがやりすぎのような気がして、物語に入りこめなかった。結局、父は娘を守ることができたと言えるのかも疑問が残った。

2021/09/20

旅するランナー

胃壁に暗号を残すという、意表を突いた異常な行為から始まる、犯罪ミステリー。重たい事件の謎を解明していく、二人の女医とはみ出し刑事の軽めなキャラがバランス良くて、読み進めやすくなってます。冷静に考えるとあり得ないとは思えますけど、ここは素直に驚愕の展開を楽しみたい。

2021/06/27

うっちー

現実離れしてるけど面白かった

2021/05/15

utinopoti27

父が自らの胃壁に遺した謎のメッセージ。それはかつて刑事だった父が、執念の捜査の末たどり着いた、28年前の事件の真相を示唆するものだった・・。複雑に絡み合うプロットを、平易な文章で包み込み、万人受けするエンタメ作品に仕上げる手際に、知念氏の真骨頂が見て取れる。一方、多少の無理は承知の上で、お涙頂戴に結びつける独特の力業は、評価の分かれるところかもしれない。いずれにせよ、医療知識を駆使したミステリで、多くのファンを惹きつけてやまない著者が、満を持して発表した本作。まさに期待にたがわぬ力作と言っていい。

2021/07/06

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