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僕の神さま

僕の神さま

僕の神さま

作家
芦沢央
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-08-19
ISBN
9784041097786
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「僕の神さま」のおすすめレビュー

「神さま」と呼ばれる小学校5年生、水谷君の推理が冴えまくる

『僕の神さま』(芦沢央/KADOKAWA)

 年末になると「このミス」こと『このミステリーがすごい!』の発売が楽しみになる。「このミス」とは、その年に刊行されたミステリの中で特に秀でたものを投票によって決める本で、『僕の神さま』(KADOKAWA)の著者である芦沢央も「このミス」の常連作家。ゆえに本書も期待して読んだが、リーダビリティーの高い文章と、「あっ」と声を漏らさずにはいられない意想外のトリックが幾つも装填されている。傑作と言って差し支えないだろう。

 小学校5年生の主人公「僕」の一人称で語られる本書だが、実質的な主役は「僕」の友人でクラスメイトである水谷君だ。彼は名探偵よろしくどんな問題も解決してしまうことから、“神さま”と呼ばれており、相談を持ち掛ける人は後を絶たない。その中で最も深刻なのが、本書の核となる「川上さん」という寡黙な女子にまつわるエピソードだ。

「僕」のクラスメイトの女子である谷野さんは美術の時間、川上さんに向かってバケツをぶちまけ、川上さんやその周囲はびしょ濡れになる。直前の授業で川上さんが水泳を見学していたことから、生理によ…

2020/10/4

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僕の神さま / 感想・レビュー

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しんたろー

小学校5年生の佐土原クンの目線で、頭脳明晰な水谷クンの名推理を描いた4編+エピローグ構成の連作短編。「あの芦沢さんが子供主人公の話?」と読む前は懐疑的だったが、著者らしいブラック&ビターな味付けで、切れの良い日常&青春ミステリが活き活きと描かれていた。いかにも小5の佐土原クンと小5とは思えない水谷クンの組み合わせも定番ながら効果的だし、同級生・川上さんの儚く切ない存在も効いている。エピローグでドンデン返し的に伏線回収をしているのも良かった。贔屓の芦沢さんとしては「中の上レベル」だが、続編を期待したい佳作。

2020/10/18

Yunemo

水谷君、小学5年生ですよ。こんな設定にしていいの。自身もそうであるように佐土原君が普通の小5と考えてしまいます。でも自身、自分の狡さに悩みましたかね、と問われればちょっと恥ずかしい想いに。水谷君の思考方法を現実的に考えると何となく落ち着かないザワザワ感ばかりが自身にまとわりついて。まだまだ世間を知らないはずなのに、まるで経験済かのような指導力、その方法。川上さんへの対応はまさにその通り。例えば、10年後20年後の水谷君と佐土原君はどういう大人になってるのか、著者の感性で描いていただきたいとの想いが募って。

2020/08/30

ムーミン

とても考えさせられたし楽しめた作品でした。

2021/01/17

イアン

★★★★★★★☆☆☆小学生の視点で綴られる連作短編集。見た目は子供、頭脳は大人な名探偵・水谷くんと〝僕〟は、同級生の川上さんのある相談に乗るうちに、裏に潜む恐ろしい事実に気付き始める…。のほほんとした猫ミスで始まり徐々に不穏な空気を纏っていく様子は、まるで朝は晴れていた空に徐々に暗雲が立ち込めていくよう。アレルギーの正体や騎馬戦の戦術といった軽めの謎から、児童虐待や呪いといった重めの謎まで、ややこじつけ気味の印象は受けるものの、小学生とは思えない推理に感心する。タイトルは短いのに芦沢央らしさを感じる作品。

2021/08/01

cinos

麻耶さんの神様を思い出しましたが、違う神さまです。1作目の感動的な春の話と愉快な秋の騎馬戦と、それとは真逆の重い夏と冬の物語による連作短編集です。名探偵とワトソン役の関係について考えさせられます。

2020/09/17

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