武士とジェントルマン
「武士とジェントルマン」のおすすめレビュー
現代に生きる武士の屋敷に、英国紳士がホームステイ!? 萩尾望都の描く表紙も目を惹く榎田ユウリ20周年記念小説
『武士とジェントルマン』（榎田ユウリ/KADOKAWA）
日本には、いまだに武士制度が現存していることをご存じだろうか。発端は1964年、東京オリンピック。かつて武家だった家の青少年を中心に、有志のボランティア活動として「侍組」が結成され、竹光を腰に差した武士装束の人々が警邏や道案内にあたったという。その活動が評価され、正式に制度化されたその正式名称は〈伝統文化の保持並びに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度〉。……というのはもちろんフィクションで、小説『武士とジェントルマン』（榎田ユウリ/KADOKAWA）の設定である。
日本の大学に講師として招かれた英国紳士・アンソニー（40歳）が、現代に生きる武士・伊能長左衛門隼人（27歳）の屋敷にホームステイすることになるというブロマンス小説。その表紙で立ち並ぶ2人を描いているのは、なんとマンガ家の萩尾望都氏。さらにページをめくれば主要登場人物8人が描かれているという豪華さなのだが、内容も著者のデビュー20周年を記念するにふさわしい読み応えである。
立ち居振る舞いだけでなく、言葉遣いも古めかしい隼人…
2021/6/1
全文を読むおすすめレビューをもっと見る
武士とジェントルマン / 感想・レビュー
りゅう☆
日本の大学講師をすることになったアンソニー。彼を迎えたのはサムライ隼人。現代日本の武士制度で地域の防犯を担ってる。武士の恰好、言葉遣いなどリアル。こんな武士がいたらビックリよね。良い人なのが滲み出てるし。まず五右衛門風呂の件に笑う。完璧家事でお喋り家政婦の栄子、同じ武士でチャラい頼孝などキャラがいい。なのに叔父の存在はムカつく。武士を目指すルリに隼人ったら…。まさかの繋がりと同じ武士の誠のカムアウトも予想外の展開で驚き。幸せな家庭が築けそう。奇想天外な設定に笑いあり、悔しさあり、ほっこりありで面白かった。
2021/08/26
榊原 香織
面白い！ 花は桜木、人は武士 公益社団法人現代武士連盟てホントにあるのかと思っちゃいましたよ。 武士の姿で生きる日本人の元に、イギリスジェントルマンがホームステイ。 作者は映画好き、コリン・フォースファンとお見受けしました。
2021/07/10
kei302
英国紳士アンソニー、東京で武士との遭遇!!! 面白い、深い、榎田先生、さすがです。公益財団法人 現代武士 連盟!! 感嘆符の多用ご無礼致した。設定が愉快で、いちいち面白のです。面白いだけでなく、真剣に考えさせられる場面が何度も出てきて、とどめが、隼人の武士仲間 誠さんの結婚式。自分の浅さをぐぐぐっと突かれました。これから読まれる同士の皆様、覚悟して読まれよ。誠がルリ(小学校5年生 武士見習い)に 「なれる。ルリちゃんは、なんにだってなれるんだよ」 主役の隼人が霞む…。
2021/05/13
Nyah
日本で働く事になった英国紳士が紹介された下宿先は青年武士の日本家屋。現代日本に武士⁉︎ 言葉遣いもサムライ言葉。不思議な同居生活。萩尾望都のイラスト。
2021/11/16
蒼
イギリスの貴族が日本の大学で教鞭を執るために来日し、ホームステイした先は武士の家だった！ ビックリする設定ではあるけど、日本の武士道に疎い外国人とはすなわち現代日本人でもあるのではないだろうか。武士とは、ジェントルマンとはとその定義を幾度となく自問する隼人とアンソニー。「ノーブレスオブリュージュ」という言葉は、ある意味武士にも通用するのではないだろうか。そして武士とか貴族とかに関わらず人としての品格を持つ事こそが、多くの人に愛され信頼される事に繋がるのだろうと思いページを閉じた。面白かった。
2021/07/23
感想・レビューをもっと見る
