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希望(仮)

希望(仮)

希望(仮)

作家
花村萬月
出版社
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日
2012-09-25
ISBN
9784041102930
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希望(仮) / 感想・レビュー

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里季

驚いたのは、これを作者が、原発事故の前に書いていた、ということである。3.11についての記述があとがきにもないし、作品の年代は1970年代である。それなのに、最後の方に「事故は必ず起きる」と作中人物に予言させている。一人の東大受験生がひょんなことから山谷に紛れ込み、福井の原発で働いたり、沖縄の土方をやったりして、東大生になるよりもはるかに多くの人生勉強をする。それに従い、私も日雇い労働者や原発の労働の裏側、沖縄の問題についても勉強することができた。しかも面白い人情にあふれる小説のかたちで、である。

2013/12/17

幹事検定1級

東大受験をした学生が不注意な行動によってカンニングとされ失格になり、一介の土木作業員として様々な経験をする物語。特に福井県の原発作業員として働く姿は過去に読んだ原発ノンフィクションに似ていると思ったら、作者も堀江さんの「原発ジプシー」をモデルにしたとあとがきに記載されてました。主人公の東大受験生は沖縄での道路建設現場後に仲間からのススメもあり琉球大学に入学して新たな人生を歩むようで清々しい読了でした。(図書館本)

2017/11/13

Masaru Yamada

2011年3月11日 東日本大震災・福島第一原発の事故の前に書かれた作品です。ロードムービー的に物語は進んでいきます。この作品を読むとどれだけ原発内での作業が過酷で矛盾したものか分かります。沖縄に移ってからのストーリーの方がほのぼのしてます。東大受験に失敗してタコ部屋へ•••相変わらず面白い発想の花村作品でした♪

2014/03/21

きょん

東大受験を思わぬことで失敗した僕は、山谷へたどり着き、手配師に導かれ原発作業員になる。過酷でかつローテクな原発の検査作業。クリーンエネルギーと最先端の技術を謳う原発は実は被曝線量をごまかしながら働く素人の日雇い作業員が支えていた。その後僕は沖縄のダム開発現場に向かい、様々な経験を重ねつつ大学を再受験する。同僚も結婚し、希望に満ちたエンディングのようだが、その希望はあくまで(仮)のもの。日本のおかれた不安定な将来、原発のもたらす荒廃、様々な要素を包含した希望(仮)なのだ。

2016/03/14

ドル箱

芥川賞「ゲルマニウムの夜」以来、花村萬月読了、感想。テーマは未来、根底は天秤とわたしは読みました。萬月は独特な感性の持ち主で、書き方もちょっと普通の作家とは違いますが、奥底に眠る感受性は非常に高い。どこか不気味で、どこか幻想的で、どこか現実セカイ、そのような日常の「日本」を現した心理文体。読んでいて「むふ~」と感じる=考えさせられる。3、11の陰りを書いているが、恐らく萬月は「もっと先」を視ているのだろう。だからタイトルが希望(仮)になったのでしょう。この世界軸の空間に、交差が生まれ、ヒトは生きていく。

2015/06/11

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