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月 (角川文庫)

月 (角川文庫)

月 (角川文庫)

作家
辺見庸
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-02-25
ISBN
9784041111505
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「月 (角川文庫)」のおすすめレビュー

知的障害者施設の19人殺害事件から着想した小説『月』。宮沢りえ、磯村勇斗らで映画化の、善悪を揺さぶる原作を読む

『月』(辺見庸/KADOKAWA)

 10月13日に公開される映画『月』。主人公は、宮沢りえが演じる作家・堂島洋子です。主な舞台は洋子が働き始める障害者施設。職員の入所者への横暴な態度、入所者たちの目を背けたくなるような行動、職員間のいじめ……生々しい日常がタブーなしで描かれます。さらには宮沢りえ含む主要キャスト4人の役柄は全員小説家、映像作家などの表現者。表現者同士だからこその嫉妬・羨望・焦燥など複雑な感情が、物語の闇をさらに深めます。

 社会の中には確かに存在するのに、多くの人が目を背けようとしている。さらに言えば目を背けている自覚もなく、“ないこと”になっている問題をむき出しにする本作。その原作である辺見庸氏の『月』(辺見庸/KADOKAWA)を紹介します。

 作者である辺見庸氏は、元共同通信社記者。『もの食う人びと』などルポルタージュ、ノンフィクション作品も多く執筆しています。『月』は、神奈川県の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で入所者が殺害された事件に着想を得たもの。映画と小説ではテーマや一部の登場人物、容赦のない現実の描き方は共通して…

2023/10/13

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月 (角川文庫) / 感想・レビュー

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坂城 弥生

意味不明な妄想の話で最後まで読むのは無理でした。

2021/04/20

ちょん

やっと読み終わった!読み切るのに時間がかかってしまいましたが読みたかった本。相模原の事件をモチーフにしてるんだよね?文中にもあったしあの事件の本当に怖いなと思うのは犯人が「悪意は無い、善意でやった」ことだと思ってます。怖くてこの事件を直視できない。そう思うと、本作の散文のような書き方は読みにくく分かりにくかったけど良かったのかも、だってそれが人の気持ちと考えなのだし、言葉でキレイに分かりやすくまとめれるものじゃないもんなぁ。映画もどうなってるのか見てみたい。そしてタイトル。良きです。

2023/11/11

Tomomi Yazaki

読む前と読んだ後で自分がどう変わるのか不安でならない。本書を読むにはそれなりの覚悟が必要です。意思表示の出来ない人間。看護者の暴言や虐待もまた、彼らにとっては得難いコミュニケーションのひとつ。痛いけど嬉しい。何もできないより楽しい。そして彼は実行に移す。優生思想の具現化として。彼は狂ってはいない。狂人が総理大臣に手紙は出さない。その総理も凶弾に倒れたが。やったことは殺人でも、生まれる前に殺すか、生まれてから殺すかの違いだけ。昔の見世物小屋は、今はパラリンピック。そう、本書は稀にみる傑作なのです。

2024/02/07

ブラックジャケット

重度障がい者という存在にきちんと向き合うことはキツい。著者はキーちゃんという、寝たきりで眼も見えず話すことも出来ない重度障がい者の内面を借り、モノローグで小説世界を切り拓いて行く。手法は驚くべき仕掛けがある。ひらがな、カタカナを多用し、読みにくくならないように漢字を配置するオリジナリティの高い文章だ。キーちゃんの心象風景に頼りつつ、他の視点に乗り移る柔軟性もある。モデルとなった津久井やまゆり園の虐殺事件のさとくん視点で、語る世界は慄然とさせられる。心がない人と断定されたキーちゃんの物語は「月」そのもの。

2023/11/18

Satoshi

やまゆり園事件をモチーフにした辺見庸による小説。宮沢りえ主演で映画化されたようだが、本作をそのまま映画化はしていないであろう。ストーリーテラーは重度障害者のきーちゃんと殺人犯のさとくん。さとくんが心失者とするきーちゃんが見るさとくんと狂気に囚われて重度障害者を殺害することを使命とするさとくん。この両面からのストーリーは読者の偽善的なヒューマニズムに問いかけていくようだ。

2023/11/28

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