KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

滅びの園 (角川文庫)

滅びの園 (角川文庫)

滅びの園 (角川文庫)

作家
恒川光太郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-05-21
ISBN
9784041112410
amazonで購入する Kindle版を購入する

滅びの園 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

アッシュ姉

登録本1600冊目は大好きな恒川さん。久しぶりに時間を忘れてひたすら没頭。こんなに面白くて失速しないかという心配は杞憂に終わり、新たなる異世界の壮大な物語で圧巻の読み応えだった。滅亡か存続か、救助か攻撃か、絶望か希望か。さまざまな選択肢にいろいろ考えさせられることも多かった。いやはやこんな凄いストーリーをどうやったら思いつくのだろう。初期作品が一番好みだけれど、スタープレイヤーも面白かったし、本書も素晴らしかった。やっぱり恒川ワールドへの旅は格別だ。

2021/06/29

眠る山猫屋

一気読みだった・・・。ついてない男が迷い込んだリリカルで平和な世界。街の住民は親切だし、電車も走る。記憶だけが薄れていたが、ある日届いた手紙が不穏を招く。一方、現実世界では異次元の存在〈未知なるもの〉が地球を覆い、地表にはプーニーなる存在が増殖し、世界を侵食していた。滅びゆく世界に抗う者、世界を救おうとする者、世界を去ろうとする者。それぞれが魅力的に描かれていて惹きこまれた。『スタープレイヤー』寄りのSF&幻想譚、登場人物それぞれが生き生きと物語を駆け抜けていく。以下、ネタバレあり。

2022/05/10

annzuhime

突如上空に現れた未知なるもの。地上には白い物体「プーニー」。増殖するプーニーは生き物を支配しプーニー化させる。上空に漂う空間には1人の男が囚われていた。そこで見る世界と地球で繰り広げられる恐怖。恒川さんのファンタジーは怖くて怖くて、でも惹きつけられる。登場人物たちのそれぞれの選択がとても苦しい。誰が正しかったのかなんて決めるのも失礼だ。タイトルの「滅びの園」の意味は読者によって異なるのだろう。

2021/09/21

スカラベ

人類を滅亡へと追い込む異次元の未知なるものが地球を覆う。鈴上誠一が取り込まれた想念の世界は幻想の園ではあるがどこか現実味もある異世界。かたや地球上ではプーニーと呼ばれるプニプニの生物が人類を存続の窮地へと誘う。今回の恒川ワールドはいつもの異界の向こうに壮大なテーマが横たわる。これは選択の物語でもある。何かを選ばなければならない状況では、皆がハッピーエンドにはなり得ない。絶望と希望が隣り合わせの中で彼がとった選択肢が導く結末は物悲しい。選択が行き着く先には産み出された歪の中に憎悪が溢れているのかもしれない。

2021/06/27

ざるこ

地球上空に現れた異次元の存在「想念の異界」とそこから発現する有害生物プーニーに人類が立ち向かう。ジュブナイルのような読み心地だなと思ったけど異界に囚われた鈴上が人類と接触する辺りから重厚感が増す。世の平穏は誰もが願うもの。それが実現した時、地球上でのさまざまな諍いや愚行を思えば手放せるわけがない。鈴上の選択も突入隊の覚悟も野夏の行動も「人」であるが故。皆が苦しかった。読後も爽快感とはほど遠い。問題山積のこの世界の現実を見据えタイトルの意味を考える時、漠然と「滅びの園」は(滅びゆく)地球であるように思った。

2021/10/03

感想・レビューをもっと見る