ロスト・スピーシーズ
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「ロスト・スピーシーズ」のおすすめレビュー
一瞬たりとも油断できない! 密林の脅威に殺人事件、クセの強い登場人物…エンタメ感満載の冒険サバイバル小説
『ロスト・スピーシーズ』(下村敦史/KADOKAWA)
ときには地に足の着いた、それでいてスケール感の大きい小説を読みたい。そんな気分にうってつけなのが下村敦史氏の『ロスト・スピーシーズ』(KADOKAWA)だ。
まずプロローグからして、舞台はブラジル北部。登場するのは金の採掘に明け暮れる、荒くれ者の男たちだ。そのうちのひとり、ロドリゲスが出会ったクリフォードという男。アメリカの大手製薬会社に勤める彼は、南米アマゾンの奥地に向かうチームのボディガードを探していた。目的は、〈奇跡の百合(ミラクル・リリー)〉。かつて〈ロシアの秘密〉とも呼ばれた不老不死の妙薬パフィアの新種で、まるで白百合のような花を咲かせることから名付けられた。さらに根から抽出される成分には、がんの特効薬を生み出せる可能性があるという、幻の植物。植物研究者の三浦も、クリフォードのオファーを受けてチームに参加することになるのだが……。
どうやら三浦には〈奇跡の百合〉とは別のところに、隠された目的があるらしい。情報を求めてスラム街に住む物知りの老人を訪ねてみたらば、すでに何者かに殺されて…
2022/8/29
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ロスト・スピーシーズ / 感想・レビュー
starbro
下村 敦史は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、絶滅危惧種アマゾン密林冒険譚でした。アマゾンは流石にありませんが、ブラジルには行ったことがあるので親近感は湧きましたが、3ヶ月前に読んだ「情熱の砂を踏む女」同様、著者の海外舞台モノは微妙かも知れません。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322103000631/
2022/09/21
旅するランナー
アマゾン奥地に、奇跡の百合(ミラクルリリー)を探索する冒険ハードボイルド。製薬会社社員、金採掘人のボディーガード、植物ハンター、リオの女子大生、そして日本人植物学者。そんな5人がそれぞれ隠し持つ思惑を秘めながら、ジャングルに入り込む。ブラジル社会の現実、森林伐採の裏事情、日本人移住者の過酷な人生などに打ちのめされ、アマゾンでの危険の連続にビビりながら、読み進める。そしてその先に、失われる種(ロスト·スピーシーズ)の本当の意味を知ることになる。
2022/10/22
しんたろー
癌の特効薬になりそうな「奇跡の百合」を探しにアマゾンへ行く植物学者・三浦を主人公に、同行する者たちが遭遇する困難が次々に展開しハリウッドB級映画のよう…日系移民の悲話、ブラジルの暗部、自然破壊の現状etc盛り沢山な情報が興味深いが消化不良なのも正直なところ。同じ国が舞台なので、葉真中さんの『灼熱』と比べられがちだが、あちらは骨太な人間ドラマ主体で、本作は活劇が主体なので比較にならない。著者の「楽しませよう!」という気持ちは伝わってきたが、前作に引き続き心情描写が足りずに響くものがない残念なB級作であった。
2022/10/24
nobby
うーん、このB級感は嫌いじゃないけど印象薄いのが残念…アマゾン密林に「奇跡の百合」を探しに行くチグハグ一行の思惑はそれぞれバラバラ。ワニにジャガーの脅威や現地人達の野蛮など多岐にわたる描写は興味深いけど…うーん、ただ各々の事情なりが語られ出すのが後半ようやくなので結局何を読んでいるのか微妙…最後に皆の背景なりが全て繋がっていくけど、上手いというよりは無理やりとか都合よさばかり感じるのが否めなかった…個人的には『ロスト・スピーシーズ』の正体や真相とかラストのトドメはソレだろうなど完全に見切れてしまったので…
2022/10/19
とん大西
絶滅危惧の「種」を求めてアマゾン密林を大冒険。凶暴なワニやジャガーの恐怖にさらされ、道なき道を満身創痍で進む一行。製薬会社のクリフォード、金堀屋ロドリゲス、植物ハンターのデニス、リオの学生ジュリアに植物学者の三浦。未知の種を探し求める彼らの想いは一つ…ではない。野心、欲望、願い。それぞれがそれぞれの思惑を抱く疑心暗鬼の探査行。冒険活劇としては悪くなかったが、ミステリーとしたら、ちょいと風呂敷を広げ過ぎたか。ファクターが多くてボヤけた感じになったのが勿体ない。
2022/10/10
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