リラと戦禍の風 (角川文庫)
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リラと戦禍の風 (角川文庫) / 感想・レビュー
Shun
上田早夕里作品は3作目になり、本作の構想は史実を元にしたスペキュレイティブ・フィクションの「破滅の王」に近い内容です。こちらは第一次世界大戦下の欧州が舞台と先の作品と時代は近く、また特筆すべきはファンタジーの要素が取り入れられた点で、不死の魔物という人類の所業を俯瞰できる立場となった主人公らの視点で読者はこの戦争の成り行きを観ていくことになる。そしてこの魔物の能力の由来に有名な串刺し公ヴラドの逸話の引用と、常に周辺大国との対外折衝に苦心し遂に滅びた小国としての立場故の諜報活動という発想が物語を引き立てる。
2022/03/29
なつみかん
この作者で何冊か読んだ中で一番好みに合ったんだ。この自分自身知らずにいた第一次大戦当時の欧州事情、よくここまで調べられたものだと感心します。あとがきに、そこに興味を持たれたら是非ご自分でも調べて、なんて書かれてあったけれど・・・到底手が出せないかと思う。(^_^;)
2022/05/19
taro
作者およびあとがきの一文に共感を得て購入。600Pのボリュームに若干しり込みしたものの、読み始めれば胃もたれすることもなくペロリ。歴史もファンタジーも、ここではないどこかの話であるという点で相性がよいようです。 書物が世の中の希望でありますように。
2022/04/17
すいそ・はいどろ
時間がかかりました。第一次大戦を魔物の目で俯瞰するという野心的なファンタジー。ヒトと民族と国と歴史という名の因襲。望むことと行為が一環しないヒトという生き物を魔物が嗤い、表と裏で寄り添う。力作でした。
2022/04/10
みゃお
第一次世界大戦下に生きた人と魔物の物語。 ファンタジーでは、あるのだが 現在の世情を考えると…。 何故歴史に学べないのか。 それが、人の本能だから? リラのような人が、実は世界中に沢山いるのだと信じたい。 また 自身の思考や行動も変えられるように。 ”逃げることも死ぬことも許さない。 人間としてこの社会を作り直してほしい”
2022/06/26
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