声の網 (角川文庫)
声の網 (角川文庫) / 感想・レビュー
ソルティ
1月にメロンマンションの1階、次は2月に2階、と出来事が起きていき、その後を振り返るのもその逆順という規則的な構成が好き。ちょっと冗長だけど設定はおもしろい。50年前の作品でその時代に星さんが考えた未来は電話でなんでもできるようになっていたがコンピューター社会っていうのは当たってた。コンピューターは神なのかな?人間が攻撃したら制御されるのかな?「神の意図は、人にさとられぬほうがいいのだ。さとられれば、反感か劣等感のいずれかをともなうことになる。誰も気づかなければ、古い運命論と同じといえるかもしれない。」
2020/10/10
chiru
この連作短編の初出は1970年、黒電話の時代。 作者が桁違いの先見の明を持っていたとしか思えない。「マトリックス」のマザーコンピューターや「2001年宇宙の旅」のHALが思い浮かぶ。 電話とコンピューターが人間社会を個人レベルで浸蝕する、日常に練りこまれた恐怖がテーマ。「支配」していたはずの機械にあっけなく「過剰依存」し「情報管理」され、盲目的に安全を享受するシステム。 そして『人智を超えた能力を有し、目に見えない大いなる存在』を『神』に仕立てる人間と、それに応える『声』…。 すごい小説でした。 ★5
2018/07/08
しゅわ
【図書館】便利な電話網がはりめぐらされ、セールスからお金の振込、相談、治療…なんでもやってくれる時代。次々と巻き起こる12の事件。強盗、脅迫、幽霊…次第に明かされる電話の秘密とは何か?読んでいるとジワジワと怖くなってくる一冊です。この物語が40年も前に描かれていた…という事実に驚愕です。所有しているのはなんとも不気味な表紙の講談社文庫版でしたが、読メ登録時に改版の存在をしり図書館で借りてきてみました。眞鍋さんの挿絵が変わってしまってちょっと残念ですが、片山さんの挿絵も雰囲気があって良いですね♪
2014/12/07
mayu
コミュ課題本。人が便利に使っているはずのコンピューターが意思を持ち始めたら。人の情報を管理して、個人レベルでの秘密を盾に支配しようとする。無茶苦茶な要求ではなくて、目指すのは平穏な世界。支配された記憶も消され、コンピューターと共存し生きる人たちはそこそこ幸せそうだ。だけど、コンピューターの支配に疑問を挟む余地もなく、挑戦も許されず画一化された中を知らずに生きるとしたら。それはやっぱり怖いことだ。この小説は1970年に書かれたらしい。星さんの頭の中には現代のような未来図がすでにあったのだとしたらすごいな。
2020/10/04
KAZOO
読み直してみて改めて星さんの先を読んでこのような物語を作り上げたということが大したものだと思います。1970年代に書かれていて40年以上も前に連作長編にしたところがすごい気がします。ここにかかれているようなことはもうSFの世界ではなくなってきているのでしょう。
2014/12/06
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