KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

作家
横溝正史
出版社
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日
1971-04-26
ISBN
9784041304013
amazonで購入する Kindle版を購入する

ジャンル

八つ墓村 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

へくとぱすかる

すでに内容を知っていても読ませてくれる。金田一や磯川警部の活躍よりも、ミステリとしての謎解きと小説のおもしろさでぐいぐい引き込んでくれる。作中の現在は発表と同時期の1950年。当時の世相や人々の思考、生活のディテールなどの空気感も、今はないもうひとつの日本のような感覚で読んだ。パズルでも社会派でもない、「推理小説」の典型と言えるかもしれない。ドラマやコミックでは描ききれない部分・人物こそ、原作の楽しさである。日記や調剤について述べた部分には、作者・横溝の人生経験がしっかり生かされていて、さすがだと思う。

2020/04/25

夜間飛行

落ち武者殺害の罪悪感と、32人殺しの要蔵に対する恐怖とが結びつき、村人の辰弥への憎しみが醸成される。この空気そのものが恐ろしい。味方になってくれそうな美也子、春代、典子をどこまで信用してよいか、誰を信じるべきか…。犬神家の婿選びもそうだが、横溝は「選択」でスリルを盛りあげるのが巧い。村に二人ずついる博労・分限者・坊主・尼・医者・後家のうち殺されるのはどちらかという、犯人の側の選択もそうだ。鍾乳洞という迷路の奧に犯人がいる。闇の中で道を選び、信じる相手を選ぶ…という命賭けの選択ゲームは、読み応え十分だった。

2020/01/12

青乃108号

夕べは宿直でろくに寝ておらず、宿直あけで15時退勤し帰宅した俺は、数日前から読み始めた「八つ墓村」を読んだのだけれど、今回、この本に関しては読んでいる時に朦朧としているというか、兎に角頭のコンディションが悪く、この本の複雑な人間関係と物語の大半を占める洞窟シーンの位置関係の解りにくさに往生し、大まかな話の筋は解ったものの、細かな部分ははて、どうだったかしら、と、こんな状態でレビュー書くのもアレだけど今を逃してしまうとおそらく明日は記憶が白紙、と危惧されるので書いてるのだけど、まあ良かったんじゃないかな。

2023/09/01

nobby

そのタイトルは知りながら映像・原作ともに未鑑賞。戦国時代に匿われた村で惨殺された落武者8人が呪い叫んだ八つ墓村の祟り。そしてまた大正の世に蘇る気が違った男による32人殺しの惨劇。冒頭からのこんな展開に引き込まれない訳がない!どんどん読み進めるに連れ驚くのは、これは推理小説というより上等の冒険サスペンスホラーであること。金田一も自ら語った通り、ほとんど役に立ってない(笑)案外淡々とした解決と思わせて、そのムラの閉鎖的な雰囲気に加え明らかになる真相は、幾つもの勘違いや思いやりに悲哀漂うも光射す終わりには満足。

2017/11/27

エドワード

先日米子への旅の帰路に、奥深い山の中をぬって走る伯備線に乗っていると、ふと山頂に落武者の姿を見、山腹の豪壮な屋敷に火の上る姿を見る。おお、八つ墓村だ!本場の風景のなんと迫力のあること。米子の人々は実際に起きた津山三十人殺しを知っていた。久しぶりに読む横溝正史の岡山モノ。昭和24年の作品、元軍人や疎開医者など、戦争経験者が描く戦後日本の姿は、今の人の作品には無い説得力がある。鎧武者や能面、箱膳や長持など、小道具が渋い。映画を何回も見ていて筋も犯人も知っているが、ケレン味たっぷりの語り口、やっぱり面白いね。

2017/06/04

感想・レビューをもっと見る