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あゝ、荒野 (角川文庫)

あゝ、荒野 (角川文庫)

あゝ、荒野 (角川文庫)

作家
寺山修司
鈴木成一
出版社
KADOKAWA
発売日
2009-02-25
ISBN
9784041315330
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(C)2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

 少年院あがりの新次と、吃音と対人恐怖症を抱える理容師のバリカン。2人が偶然出会い、ともにプロボクサーを目指す『あゝ、荒野』(KADOKAWA)は、寺山修司初の長編小説だ。

 舞台を1960年代から2021年の新宿に移した映画版が公開中だが、どんな世界が描かれているのだろう? 「大学生の頃、つかこうへいとともに寺山修司の作品を読み続けてきた」と語る岸善幸監督にインタビューした、後編をお送りする。

今と地続きの、不安な未来も大事な要素に

 オリンピック後の2021年は、2017年とほぼ変わらないように見える。しかし経済的徴兵制とも言える、学生が介護の現場か自衛隊かで働く社会奉仕プログラムが存在している。また原作では「養老院に入りたくないがために、『話のネタになる本』を持ち歩き話し相手を探してさすらう孤独な老人」だったバリカンの父・建夫は、元自衛官になっている。

 彼は派遣先で部下を破綻に追い込み、自身も破綻してしまった。モロ師岡さん演じる建夫は、孤独だけではなく狂気もまとう亡霊のような老人だ。彼のキャラク…

2017/10/20

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(C)2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

 いわゆる「文豪」ではないけれど、亡くなってもなお多くの人に愛され、読み継がれる作家がいる。戯曲や詩などを数多く遺した寺山修司も、その一人だろう。

 彼の唯一の長編小説『あゝ、荒野』(KADOKAWA)には、新次と“バリカン”というプロボクサーを目指す青年が登場する。全く違った出自と個性を持ちながら、ボクシングに惹かれていく2人の物語は、1966年に誕生している。それから50年以上経った2017年10月に、前後篇で初めて映画化されることになった。半世紀以上前の作品をなぜ今、取り上げようと思ったのか。岸善幸監督にインタビューした。

日韓ダブルのバリカンは、言わば今の新宿の象徴

(C)2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

 岸さんはこれまでTVディレクターとして、バラエティ番組やドキュメンタリー、ドラマなどを手掛けてきた。映画監督初作品は2016年の『二重生活』だが、映像制作は約30年のキャリアを持つ。そんな岸さんであっても、寺山修司作品の監督をするのは「最初は気が引けた」そうだ。

「配給会社の方からこ…

2017/10/7

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あゝ、荒野 (角川文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

寺山の初めての長編小説(そして同時に唯一の?)ということなのだが、色々な意味で寺山らしさの横溢する作品だ。彼はこれを「モダンジャズの手法」によって書いたと述べているが、そもそも登場人物の役柄を措定して、それらの人物を動かしていくというのは寺山が親しんだ演劇の手法でもあった。「お母さんください」など、寺山演劇に共通したテーマ性もここにはある。また、全編に繰り返し現われるのは、当時歌われた歌謡曲への郷愁とオマージュである。それは、振り返ってみると、あまりにも安っぽい感傷なのだが、寺山はあえてそれを歌うのだ。

2014/08/25

新地学@児童書病発動中

寺山修司唯一の長編。登場人物たちはみんな孤独を抱えており、それはどんなことをしても解消されることはない。それでも他人とのつながりを求めて、ぎこちない触れ合いを求める彼らに自分を重ね合わせながら読んだ。ラストで新次がバリカンに何発もジャブを叩きつけるのは、人と人の間の埋めることのできない隔たりに対する怒りのような気がした。過ぎ去った昭和の匂いが甦って来る東京の場末の描写には強い郷愁を感じる。当時流行っていた広告や歌謡曲の取り入れ方も巧み。寺山修司が偉大な表現者だったことがよく分かる作品。

2013/12/02

青蓮

猥雑な喧騒、犇めく人々、溢れる雑踏、拭いきれない血と泥の匂い。1960年代の新宿が舞台の物語。当時流行った映画や歌謡曲、実在している芸能人の名前、テレビCMのパロディ、著名な詩句、ジャズからの引用などを散りばめた本作は将に寺山ワールド全開。当時のことを明確に知らなくても不思議と懐かしさを覚える。吃音と赤面対人恐怖症の〈バリカン〉と少年院から出所した新次がボクシングジムで出会う。ボクサーとしての道を進んでいく2人と彼等を取り巻く訳ありな人々の人間模様とで物語は展開していく。

2019/04/14

扉のこちら側

2018年245冊め。読メには未登録だが以前読了したハードカバーで森山大道の写真とコラボした版が迫力満点であったため、この表紙は惜しいと思ってしまう。高度成長期のとにかく前へ前へという日本の衝動が感じられるが、物語の展開としては登場人物が多いためかもたついた印象もある。新宿新次「解説なんか聞きたかねえよ。俺には俺の読み方があるんだ。」

2018/07/01

ワニニ

映画公開に合わせ再読。1960年代の昭和、新宿の風景、猥雑な雰囲気、そしてテラヤマワールドのコラージュ。母を喪っている若者たちが、“荒野”で、何とか自分の存在を確かめる為、もがく青春。孤独と熱が渦巻いている。今尚、いや現代だから?さらに?、鋭く洗練された言葉が刺さる。

2017/10/09

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