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レオナルドのユダ (角川文庫)

レオナルドのユダ (角川文庫)

レオナルドのユダ (角川文庫)

作家
服部まゆみ
鈴木一誌
出版社
KADOKAWA
発売日
2006-02-24
ISBN
9784041785065
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レオナルドのユダ (角川文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

服部まゆみは初読。本書はダ・ヴィンチへの肉薄を試みた意欲的な小説。語りには工夫が凝らされていて、プロローグとエピローグをジョヴァンが、そして本編はジョヴァンニとパーオロが語り、中に1章ダ・ヴィンチ自身の語りを挿入するというもの。また物語は、いくつかの対立を軸に展開するという構造をとる。例えば、主筋のジョヴァンとあくまでも貴族家の召し使いでしかないジョヴァンニ、パーオロとダ・ヴィンチというように。もっとも、それは超えることのできないものであり、そこにジョヴァンニの煩悶も生まれるのだが。ダ・ヴィンチの偉大さ⇒

2022/08/12

nobby

あくまで天才ダ・ヴィンチの生涯を周囲からの目線で見つめる歴史小説。その名前の区別つきにくい登場人物の混乱も含め、史実をなぞっての展開の単調さには少々苦戦…タイトルの示す「レオナルドにとって裏切り者ユダは誰なのか」は、名画『モナ・リザ』の謎と絡めて終盤でようやく動き出すが、結局あまりはっきりしない。それでも、生き方全てを完全崇拝する弟子と完璧なまでの才能を頑なに認めない人文学者の対決描写はいじらしくも面白い。また師からの寵愛を、正義感から破天荒へ向かう軽蔑や、従者から主人へ向けられる嫉妬で描くのも興味深い。

2018/02/20

kaoru

レオナルド・ダ・ヴィンチに心酔した貴族と召使の少年、フランチェスコとジャン。レオナルドの人柄と才能に惹かれた彼らは互いに嫉妬と羨望を抱きつつ成長する。一方ペストが猖獗をきわめるコーモで親友を失った人文学者パーオロは皮肉な人生観ゆえに友が口をきわめて賛美したレオナルドに懐疑を抱く。そしてレオナルドにとって欠くべからざる存在の美少年の弟子サライ。『最後の晩餐』『アテネの学堂』などの名品やラファエロ、ミケランジェロも登場し、ヴァチカン、工房の様子や食事等が細かに描き出されて当時の匂いまで伝わってくるようだ。

2022/07/15

レモン

テンポがゆったりなのと思っていたほど歴史ミステリ色が強くなかったため退屈に感じたが、最終的には面白かった。レオナルド・ダ・ヴィンチを知らない人は居ないだろうが、彼の人柄や人間性についてのエピソードを全く知らなかったので新鮮に感じた。『モナ・リザ』のモデルにそんな説もあったのか。レオナルドを崇拝するあまり互いに反目し合う弟子・ジャンとフランチェスコと、レオナルドに反感を抱くパーオロの章が交互に展開し、掴めそうで掴めない人物像にやきもきさせられた。

2023/03/11

ぐうぐう

服部まゆみが描くレオナルド・ダ・ヴィンチ。ただ、この小説は正攻法でダ・ヴィンチを描こうとはしない。二人の弟子・フランチェスコとジャン、そしてダ・ヴィンチを嫌った人文学者・パーオロの目を通して、ダ・ヴィンチとは何者だったかを表現しようと試みる。万能の天才と言われたダ・ヴィンチは、万能であったからこそ、弟子達に複雑な感情をもたらせる。羨望と嫉妬だ。天才と、それに必死で近付こうとする凡人の関係を、服部はイエスとユダの関係と重ね合わせる。(つづく)

2016/04/06

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