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落下する夕方 (角川文庫 え 4-1)

落下する夕方 (角川文庫 え 4-1)

落下する夕方 (角川文庫 え 4-1)

作家
江國香織
出版社
KADOKAWA
発売日
1999-07-05
ISBN
9784043480012
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落下する夕方 (角川文庫 え 4-1) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

8年間同棲した男が「他に好きな人ができた」とマンションを出ていく。それだけで腹立たしいのに、その好きな女華子が押しかけて始まる不健全な同居。こんな不穏な話をこんなに冷静に、いつか失う夕暮れの切なさのように描けるなんて。 夕方のシーンなんて出てこないけど、この話のタイトルは間違いなく「落下する夕方」。「一人の男と人生を共有しているときの、ありふれた日常の信じられないような幸福」を失った耐えがたい喪失を、新しいぬくもりで埋めずに進む「冷静で、明晰で、しずかで、あかるくて、絶望している」物語。江國さん好きです。

2018/10/08

優希

ゆっくりとした失恋小説でした。長年付き合ってきた恋人が破局し、彼の新しい恋人と同居するというストーリーに驚きました。でも案外すぐその状況に慣れてしまうのが女子同士が一緒に住むということなのかなと思います。強烈な印象を持つ華子と暮らすようになり、梨果が彼女の魅力に惹かれていたからこそ、最後の展開に現実の女性になろうとしたのでしょう。梨果、健吾、華子の微妙だけれど穏やかな三角関係は愛しきることも憎みきることもできず、永遠に続くものだと信じたかったです。だから帰れない関係になったとき、静かに痛みが広がりました。

2016/05/08

🅼🆈½ ユニス™

展開が速いわけでもなく、大きなハプニングがある訳でもない。が、意外と次の展開気になって仕方がない魅力的な一冊だった。さざなみのような日本映画のような感じ? 物語の主人公である3人、梨果、健吾、そして、華子を中心に長かった愛と急に訪れる別れ、元カレが人を愛してしまう心理など、世間に無心な人を描く話。落下する夕方と言うタイトルがとても似合う穏やかでどこか容赦なく抑えつける感じの小説で私にはとても面白かった。

2019/01/31

エドワード

梨果は恋人の健吾とマンション暮らし。ごく常識的な女性だ。ある日突然健吾が引越すと言う。別の女と暮らすのだ。「遊びに来いよ」と言って出ていく健吾。新居に行くと華子という女性がいた。ある日華子が梨果のマンションへ来て、一緒に住もうと言い出す。???な梨果。華子は不思議ちゃんだ。やせっぽち。ラジオが好き。ひょいと旅に出る。梨果は振り回されっぱなし。とぼけた三角関係の鬼ごっこ、会話の妙、デタラメ歌が可笑しい。華子は最後自殺してしまうが、憎めない、ピュアな生活があった。読み残していた江國香織さんの初期の独特の軽み。

2012/12/02

やも

不思議な話だった。けっこう好き、この話。主人公・梨香の夫は好きな人が出来たと同棲解消して家を出ていった。そしてその夫の好きな人・華子と梨香は同居することに。奇妙な三角関係はベタついてそうなのに、どこか澄んでいる。華子の気持ちが一切語られないのが魅力的。なんか懐かせたくなるようなカンジ?最後はもう、華子に敵わないよね、刻み込まれちゃうよ。こんなんズルいよって言いたくなるけど、また会いたいし、なのに徹底的に区切りだし。海をずっと眺めていたくなるラストだった。

2023/09/19

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