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パイロットフィッシュ (角川文庫)

パイロットフィッシュ (角川文庫)

パイロットフィッシュ (角川文庫)

作家
大崎善生
出版社
角川書店
発売日
2004-03-25
ISBN
9784043740017
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「パイロットフィッシュ (角川文庫)」のおすすめレビュー

「人は、一度巡り合った人と二度と別れることができない」——別ればかりのコロナ禍だからこそ沁みる傑作青春恋愛小説

『パイロットフィッシュ』(大崎善生/角川文庫)

 生きることは失い続けることなのか、と絶望してしまう夜がある。昔は分からなかった「さよならだけが人生だ」という言葉が、今では痛いほどよく分かる。歳を重ねれば重ねるほど、別れの数ばかりが増えていくし、永遠の別れだって少なくはない。おまけにコロナ禍だ。少しずつ元通りの生活が始まろうとしているのに、多くの人とさよならをした時間が、未だにそんな憂鬱を助長させている。

 だが、『パイロットフィッシュ』(大崎善生/角川文庫)を読むと、少し救われたような気持ちになる。私たちの胸の内に眠る記憶、人と人との出会いと別れ、生きることの悲しみ……。この作品は20年以上前の青春恋愛小説だが、コロナ禍を経験した今だからこそ、ますます心に染み渡るのだ。

 主人公は41歳、雑誌編集者の山崎隆二。ある夜、彼のもとにかつての恋人・由希子から電話がかかってくる。19年ぶりだというのに声を聞いただけで由希子だと分かった隆二の脳裏に、彼女と過ごした学生時代の記憶が浮かび上がってくる——というのがこの物語のあらすじだが、もしかしたら、あらすじだ…

2023/1/31

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パイロットフィッシュ (角川文庫) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

別れを テーマにした 僕と由希子の 青春の物語である。19年の年月を超えた 二人の物語は 清冽で なぜか懐かしい。 村上春樹の世界にも どこか似て、 二人の間は 脆く 危うげで、あっけない別れが 妙に心に痛い。記憶の残像に縛られながら、 今を生きる僕…そして 19年ぶりの再会は …青春の思い出をさらりと 描いた、二人の 恋の物語だった。

2018/10/29

ちょこまーぶる

記憶って本当に厄介な物で、忘れてしまいたい事を自分の意志とは別にしっかりと脳に焼き付けてくれちゃうんですよね。人が生きていくうえでの苦悩というか試練という奴は記憶が操作できれば、どれほど生きていくことが楽になるのか・・・だけど、生きているっていう実感ていうものは、そういう苦悩とか試練があってこそ何でしょう。難しいですね。考えさせられた一冊でしたが、好きな作家さんの一人です。

2013/04/27

おしゃべりメガネ

およそ9年ぶりの再読でしたが、改めてこんなにステキな作品だったとはというのが、正直な感想です。初めて読んだトキも「いい作品だなぁ」と漠然には思いましたが、年月を経て、改めて読み返すと色んな場面の描写やセリフ、文章がココロに優しく刻まれます。作風としては、村上春樹さんをわかりやすく、読みやすくしたような感じで出てくる登場人物が、とても魅力的です。ハッピーな作品なのかと問われると、正直解釈はバラバラになるかと思われますが、私は好きな読後感で『一度出会った人間は、二度と別れることはできない』が好きな文章でした。

2020/05/14

静かで、どことなく結構孤独な感じの主人公が出てくることが多いですが好きな作家さんです。文章に表れる情景がとても美しいです。

しのぶ

題名の意味は最初の方に出てきて成程と。その題名が最初から最後まで効いている小説は意外と少ない様に思える。人物の感情を文章にしている所が多いせいか、考えさせられそうなずっしりとした重さの割には、自分は結構さっぱりいけたかも。今自分に迷いが無いから?(笑

2018/03/19

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