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瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)

瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)

瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3)

作家
伊岡瞬
出版社
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日
2011-07-23
ISBN
9784043897032
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瑠璃の雫 (角川文庫 い 64-3) / 感想・レビュー

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夢追人009

伊岡瞬さんの3冊目は原題が「七月のクリスマスカード」で初のヒロインが主役の薄幸の少女の成長ストーリーですね。本書は1,2作とはガラリと作風が変わって、おふざけ冗談一切なし真面目一本鎗の家族についての物語です。小学6年生の杉原美緒はアルコール依存症の母と弟の充と3人で暮らし、父は既に家を出て行って再婚しており、幼い日に充が赤ん坊の弟を殺したという気の滅入る記憶を抱えながら生きてきた。母の入院と共に母の従姉妹の薫さんの家に引き取られる。やがて美緒と充は薫さんの知人の元検事・永瀬丈太郎という初老の男と知り合う。

2022/01/24

イアン

★★★★★★★☆☆☆赦しとは何かを問う伊岡瞬の長編。生後間もない弟を喪った経験を持つ美緒は、心に「闇」を抱えたまま成長する。母の従姉妹・薫の紹介で元検事・永瀬と知り合うが、彼にもまた一人娘を誘拐されるという辛い過去があった…。初期の作品なので、真相に辿り着く過程や永瀬の行動原理(男への金銭提供)などに疑問は感じるものの、重厚な物語で読みごたえは充分。もし今著者がこの作品を書いたなら、もっと小宮親子をクズに描いていたに違いない。第一部の時点ではサイコパスかと思われた彼が優しい心を持って成長していたのは救い。

2021/07/10

いつでも母さん

そもそも薫による強引な関わり合いからの深入り。おかしい、何か不穏なこの家族・・そう私の脳は点滅する。弟はどうした?気になってページを捲るスピードが加速する。瑠璃の事件の真相には違和感しかないし、この家族の出来事の真実にはまんまと騙された私だった。いや、ツッコミどころはあるのだが、伊岡さんやっぱり読まされちゃう。人は何気なくとんでもないことをしてしまう生き物だと再確認させられてしまう読後感。とにかく充が無事で本当にホッとした。

2021/11/13

のり

小学6年生の「美緒」が背負うにはあまりにも過酷な現状。救いは親類の「薫」と元検事の「丈太郎」の存在だった。殻に閉じこもっていた心を解きほぐしてくれた二人。しかし「丈太郎」は過去に娘を誘拐され未解決なまま時が過ぎ去った。大事な者を失った共通点をもちながら、祖父と孫程の年の差がありながら友達関係を築きあげる。大人になった美緒は二つの事件の真相に迫ろうとするが…丈太郎夫婦の心情を察すると居た堪れない。口にしない絆もあると教えられた。この先、美緒達には幸せを掴みとってもらいたいし、青い薔薇も咲いて欲しい。

2021/02/11

mmts(マミタス)

アルコール依存症の母と知的障害の疑いがある弟にさいなまれる少女のとある物語。一方、誘拐された娘を何十年も待ちわびる孤独な元検事のとある物語。二人は一緒に過ごすことで、はたしてお互いの傷を癒せるのか。最初は感動するヒューマンドラマだと思いました。しかしながら、元検事の過去に関する描写はかなりキツいと思いました。それでも、許される意味と許す意味を学びました。つまりは、これは立派なヒューマンミステリー(サスペンス)だと言えるかもしれません。誰かを憎むよりは許したいと思いました。有意義な読書でした。

2017/01/13

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