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陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)

陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)

陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
KADOKAWA/角川学芸出版
発売日
2014-09-25
ISBN
9784044094713
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陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

陰翳に対しおそれとともに美を感じ、敬意を払ってきた日本古来からの美学を世にも美しい文章で語る随筆集。どの時代も新しいものの便利さに喜びを感じながらもそれによって失われた親しみのある不便さを惜しんでぶつくさ言うのは変わらないんだなぁ。 真面目くさった文章で真剣に猫のしっぽについて「ああいう便利なものがあったならば」と思いを語り、ハリウッド写真の「あの白い汚れ目のない歯列を見ると、何となく西洋便所のタイル張りの床を思い出すのである」なぞと嘯く。思わずくすり。谷崎氏のイメージががらっと変わった本でした。

2018/05/28

優希

日本文化を問い直す随筆集ですが、憂いていることは時代が変わっても普遍なのだなと思わされました。日本の美、そこにほの暗さのある美しさを愛した人はどれだけいるでしょうか。美に対する執着心を強く感じました。

2016/02/24

k5

安易に日本文化を考えるシリーズ第二弾。断然、『茶の本』よりも刺激的でした。西欧が明るくて日本が陰だなんてそんな単純なもんじゃねえぞ、という井上章一の解説は、まさにその通りなんですが、それが野暮に聞こえるくらい説得力のある本です。『茶の本』もおそらく同じことを言っているのですが、理論の援用がなしに作家の感覚だけで話してくれる方が説得力があります。そのほかに収められているエッセイも名篇。

2023/01/04

ヒロミ

インテリアデザイナーにも読まれている名著。日本人が好む美しさとは、省略の美であるということ。空白を持って画面を構成する日本画もそうであるし、無駄な言葉や描写のない小津安二郎、北野武の映画も実に日本的な美と言える。宮崎駿さんが「アニメーションは三歩あるいて十歩あるいたように見せなければ意味がない」というような主旨のことを何処かて語っておられたが、それも日本の美なんだなあと強く思った。また、世界で評価されているのはまさにそれら省略の美そのものなのだ。

2021/09/10

Sakie

かの有名な「陰翳礼讃」はたったこれだけのエッセイなのだ。文豪の有名な著作という摺り込みへのびびりっぷりに我ながら驚いた。明治からこちらを眺め渡すような他のエッセイも素敵に変態で楽しい。早く読めばよかった。この「陰翳礼讃」を私は宿で読んだ。現代へも続く欧米流と和風の綱引きは、この宿の障子を用いた間接照明や、落とした明かりに映える蒔絵風の椀を見るに、和のほうへ傾きつつあると言えるだろうか。照明や電飾の過剰を憂い、些事にもこだわる氏らの言は、私にも肯ずるところが多く、たぶん大事なのだと思う。この人好きだな。

2023/01/16

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