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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

作家
桜庭一樹
出版社
KADOKAWA
発売日
2009-02-22
ISBN
9784044281045
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫) / 感想・レビュー

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風眠

皮膚の下にある痣、引きずる足、聞こえない片方の耳。痛みではなくそれを汚染と言う藻屑の祈り。何もかも放棄し「貴族」になった兄と、母子家庭の苦しさの狭間で諦めているなぎさ。大人の庇護がないと生きられない中2の少女達。大人の現実に抗うこともできないまま、今日も砂糖菓子の弾丸を込め続ける。子どもを生き抜く苛酷さは、甘い砂糖でコーティングしても変わらない。藻屑は父親に殺されてしまうという前提で描かれている物語であるからこそ、エキセントリックな藻屑の言動が胸を刺す。理不尽で寂しい、絶望の残滓がふわふわと心に漂う物語。

2015/01/17

めろんラブ 

この無力感と虚無感をどう飼い慣らせばいいのだろう。海野藻屑。不吉な名前を与えられた少女の心に寄り添えば、きっと結末は変わる。そんな祈りともいえる期待を抱きつつ読み進めて・・・。衝撃的な物語運びはさすがの桜庭一樹。もともとYA向けの作品とはいえ、描写の妙と鮮やかな構成、なにより読み手を掴んで話さないストーリー展開により、YAが遠い過去となった私でも驚くほどのめり込めた。「好きって絶望だよね」と言った藻屑の”汚染された”顔と体は、美醜を超えた神々しさで私の心に刻印された。砂糖菓子の儚い甘さと共に。

2012/09/15

yu

Kindleにて読了。 なんと言っていいのかわからない読後感。もちろんいい意味で。 実弾を持って闘えない13歳の少女二人。片方は、早く実弾を手にしたくて、片方は砂糖菓子の弾丸を手にして、何もしないでも必然的にやってくる毎日と闘わなくてはいけない。 自分たちの力だけでは生きられない子供たちにとって、親や育つ環境を選べない現実が重くのしかかってくる。 山田なぎさは、神であった兄を失い、友達であった藻屑を失う。失ったものの代わりに、山田なぎさが得たものが、大人になった時の彼女の実弾になることを願う。

2016/08/13

ソルティ

すごいものを読んでしまった!青春でもあり、事件も起きるし、狂気、恋愛、引きこもり、虐待、いじめなど色々要素があるのに一続きの作品で、文体も軽く、おもしろい表現も多く、なのにズドンとくる。登場人物達がとても哀しいのに、なんだか清々しくみえて、必死に生きてるな、気持ちが暖かいし芯があるなと感動もした。ホントうまく表現できないけど弾丸に撃たれたような衝撃だった!「もうずっと、藻屑は砂糖菓子の弾丸を、あたしは実弾を、心許ない、威力の少ない銃に詰めてぽこぽこ撃ち続けているけれど、まったくなんにも倒せそうにない。」

2020/02/03

ehirano1

哲学的なタイトルに惹かれたのですが、なんともイタタマレナイ物語でした。親の虐待により、愛に絶望しながらも愛を渇望し、別人格と別世界を創り出してなんとか生き延びようとする藻屑はまさに「砂糖菓の弾丸」。一方で、藻屑と対を成すなぎさも藻屑とは形が違った「砂糖菓の弾丸」ではなかったのかと思いました。しかし、「砂糖菓の弾丸」という比喩は秀逸だなぁ。

2023/08/11

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