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キリンの子 鳥居歌集

キリンの子 鳥居歌集

キリンの子 鳥居歌集

作家
鳥居
出版社
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
発売日
2016-02-09
ISBN
9784048656337
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キリンの子 鳥居歌集 / 感想・レビュー

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やすらぎ🍀

生死の葛藤、人生の明暗の闇を隠さない短歌。生い立ちの衝撃、人間の強さ、生きるための過酷さ。…皆が私を捨てて置き去りにする。存在する場所がない。音もなく涙を流す我がいる。人の群れから抜け出して孤独になれる。私に眠りを。絵本の夢を。日々直面する辛さや苦しみの重さが分からなくなるほどに深く、底の見えない穴に落ちる。泣いたってよかったはずだ母は。あの木造アパートは今はもうない。生きていくしかない。生きる意味がわからないまま生きてみるしかない。月明かりに照らされて、眠れない夜の現実。朝焼けの悲しみ、誰もいない自由。

2021/11/27

はっせー

初めて短歌の本を読んだ!なかなか重い作品だが読んで良かったと思う! 31文字で表される世界観に魅せられた。決して明るい内容ではない。むしろとんでもないほど暗い世界である。この本の作者の鳥居さんは私が過ごしてきたような経験をしてこなかった。両親の離婚 母や友の自殺 いじめなどといった想像に絶する経験をしてきた。その作者が紡ぐ言葉は純粋過ぎる部分をせめている。何かがあれば崩れるようなほど危ういものである。だからこそ私たちの心をそっと揺らしてくる。また鳥居さんの話を読みたいと思った!

2020/03/03

ハイランド

言葉が痛い。割れたガラスの破片で魂を傷つけ、噴き出した血で書いたような三十一文字。生と死の本質をえぐり出したような歌を前に、読み手は戦慄せざるを得ない。この世界が想像ではなく、全て彼女の実体験から生み出されたものだということにまた驚愕である。鳥居という歌人が、歌を詠むことで生きてこられたというなら、言葉の力、短歌という文学形式が持つ力を感じざるを得ない。衝撃の読書体験でした。漆黒の中にぽつんと光る家の灯りのような暖かい歌がところどころにあるのに救われる。彼女がこれからどんな歌を詠んでいくのか楽しみである。

2017/01/20

新地学@児童書病発動中

作者の過酷な人生が伝わってくる歌集。特に自殺した友人のことを詠んだ「紺の制服」に収められた歌は重たく、悲しくて強烈な印象を残す。自ら命を絶ってしまった母のことも多く詠まれており、母に対する思い入れの強さを感じた。作者にとって死や暴力は身近なもので、心に受けた深い傷を昇華するためにこれらの歌を詠んだのだろう。歌を詠むことで鳥居の人生は救われたのだろうか。「目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の色はかあさんのいろ」

2016/07/05

いつでも母さん

読友さんのレビューに誘われて手に取る。一度では噛みきれない。だが続けては痛くて読めない。だめだ!眼を背けるな。心を閉ざすな。耳を澄ませ。良い歳をした自分だが読後感は重い。そうさ、何度でも手に取ろう。何度でも噛みしめてみるさ。何度でも・・

2016/04/30

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