私の赤くて柔らかな部分
私の赤くて柔らかな部分 / 感想・レビュー
チェアー
平田さんの小説は初めて。(エッセイは読んだ) 失ったものが大きければ、穴も大きい。その穴を埋めるには新しい人やものとの出会いが必要だ。 主人公はなんともなく新たな街にいつき、赤いものを見つめて過ごす。 新たな人との出会いの予感を含みながら、しかし思い返すのは古き失ったものの大きさだ。 彼女はこれからどこに行くのかと考える。どこにも行かず、じっとこの街にいるのだろうか。
2020/05/26
kei
☆3 イジイジぐずぐずと別れたダメ男の事を考えてるまなみは好きじゃないけど、なぜか読んでいて悪い気はしなかった。平田さんの詩的な表現が心地よいのかしら。
2017/04/28
まおまお
とても好き。湿った心が乾いた文体で語られる。女性たちのそれぞれの喪失によって空いた穴がかなしく、かつコミカルな会話で埋められていく。みな何らかの喪失を抱えて、何らかの手立てをしながら生きているんだ。行き当たりばったりの見知らぬ場所から得た不思議な地縁は穴を抱えた孤独によく効くらしかった。恋人との別れ、好きな人や親類を亡くす、居なくなったり見つかったりを繰り返したり。物理的に補填されることもあれば、幻想に救われることもある。雨は臭い言葉でいえばやっと心から素直に流せた涙の比喩なのかも。
2024/01/30
ちぃ
詩人が書いた本と聞いて納得。文章が詩的。
2014/06/26
ミメイ
去って行った人、逝ってしまった人。人との別れには、こんなふうに気持ちが出たり入ったりする。大抵は「沼子」のように現実の中でむりやり向き合うしかないけれど、この主人公のように出来たらいいのに、と思う。泣いたり叫んだりするのではなく、非日常の中の日常にそっと身を置いて、とろとろとからだの中にしみこんでいくのを、月日と共にじっと待つ。 たまたま辿り着いた町は、こちら側とあちら側の狭間のような場所にも思えるけれど、決して現実離れしているわけでもない。「別離」が軸になっているけれど、暗くはなく、重たすぎもしない。
2013/09/04
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