つまみぐい文学食堂
つまみぐい文学食堂 / 感想・レビュー
あきあかね
海外小説に登場する種々の食べ物を採り上げたエッセイ集。小説の中で食事は、単なる端役ではなく、登場人物の心情、時には物語の全景までをも表すような重要な役割を果たす。 例えば、『白鯨』の鯨ステーキ。「海上で鯨に群がる鮫たちのふるまいと、船上の水夫たちのふるまい、さらには乙に澄ました顔でステーキを食べている上流社会の人間のふるまい、それらすべてを同一線上で眺めているメルヴィルの視線が感じられる」 小説で描写されるあらゆる物の中で、食べ物は最も根源的で、かつ親しみがあり、読み手は大いにイメージを喚起される。
2019/02/19
viola
確かに・・食べてみたい!というものが全然ないことに驚きました。実際に文学作品に登場する食べ物よりも、登場しない食べ物―かのチキン・ポットパイのような―が無性に食べたくなるものですね。著者が柴田さんだから、どうしても現代アメリカ小説の自分が読んでないものばかりなのが分からなくて残念ですが、それでも相当の鯨好きだということと(笑)当然ながら、こんな著名な方でも人間なのね!!というような素の部分を覗き見ることが出来て何度も吹き出してしまいました。
2011/03/14
kaoriction@感想は気まぐれに
揚げパンからチキンポットパイまで食材+メニューは346品目。と書くと食の本。これをメルヴィル『白鯨』からオースター『ムーン・パレス』まで作品数140タイトル 作家104名、と書くと俄然、文学臭が。Menu からAors d' Oeuvre , Fish, Meet,…Desserts に至るまで食と文学をコース風に調理した一冊。冒頭 O・ヘンリー「アラカルトの春」からして、読みたい気分に。吉野朔実のイラストとあとがき対談も良い調味料。巻末indexで食材も引ける文学エッセイなんてあまりないよ。お腹一杯。
2012/11/04
たー
柴田氏らしい(自虐も含めた)軽妙なタッチで、様々な作品を食べ物に絡めて紹介。どれも読みたくなるものばかり。因みに美味しい食べ物の話は殆どありません。
2010/04/06
utataneneko
英米文学を中心に、いろんな小説に出てくる食べ物の話ばかりを集めたエッセイ集。ただし美味しそうな話を期待してはいけない。中には美味しそうな描写もあるにはあるが、ほとんどが、筆者の柴田さんも言うように「まずそうな食べ物」の話なのだ。いかにも柴田さんが好んで読みそうな、シュールな小説に出てくる、不気味でまずそうな食べ物の話。でも確かに、美味しい食べ物よりも、まずそうな物のほうが想像力がかきたてられるものなのかもしれない。
2012/02/21
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