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ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)

ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)

ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)

作家
葦舟ナツ
出版社
KADOKAWA
発売日
2017-03-25
ISBN
9784048927055
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「ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫)」のおすすめレビュー

引きこもりの兄に苦しめられた弟が、人を愛する感情を取り戻す――心をえぐる、デビュー作『ひきこもりの弟だった』

『ひきこもりの弟だった』(葦舟ナツ/KADOKAWA)

 物語には2種類ある。一つは、現実ではあり得ないことが起こり、読み手の「こうなったらいいな」を描く「現実逃避」の物語。「冴えない私がクラスの人気者の○○君に告白されて」的な展開である。

 もう一つは、出来事とそれに付随する人の感情を、作家の表現力と思考力で明確に言語化し、より一層「現実を突きつけてくる」もの。『ひきこもりの弟だった』(葦舟ナツ/KADOKAWA)は、後者である。

 主人公の「僕」は、人を好きになったことがない。なのに、駅のホームで偶然出会った女性と、その日の内に結婚を決める。決め手は、彼女が口にした「3つ目の質問」。あとは「お互いを大切にする」という決まりだけをして、「僕」は大野千草(おおの・ちぐさ)という女性と夫婦になり、共同生活を始める。

「僕」は千草が好きではない。千草も、「僕」を愛しているわけではない。ただ、お互いを大切にし合えて、「3つ目の質問」に了承できる相手なら、お互いそれでよかった。

 世間の「常識」から考えたら不可思議な二人だが、関係は良好。「僕」は千草を妻にした生…

2017/11/9

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ひきこもりの弟だった (メディアワークス文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

めでゅう

帯コメで三秋さんのいう「幸せな人」とは、家族という存在に屈託がなかったり、その屈託をすんなり受け入れることができたり、周囲の人への呪詛と羨望とが同居する精神状態になったことがなかったり、坂巻のような存在を賢く切り捨てられたり、時間という名医を適切に利用することができたりする、そんな人々のことを指しているのだと思います。その幸福を、消極的な動悸から羨ましく思うことは多くの人にあるでしょう。

2017/05/05

めでゅう

フェアに則り半年ぶりに再読。/ラストシーン。改めて、恐ろしくグロテスクな結末だと思った。視点人物である弟にとって、これはつまり決定的な敗北の記録なのだ。彼は許したわけじゃない、ただ怒りを忘れただけだ。あの頃には確かにあった怒りや悲しみを、時間経過による風化から彼は守り切ることが出来なかった。これは言い換えると、彼は遂に悲しみや怒りからも見放され、またあの頃の自分自身をすっかり死に絶えさせてしまったと言える。彼は負けたのだ。あの頃の彼の心は、未来の彼に訪れる「幸福」によって蹂躙された。

2017/11/18

nayu

大変面白かった。    もう少し抑揚が欲しかった。    結末は普通だった。    一つの物語が終わったって感じだった。    確かにひきこもりの弟だったけど、それ以外に特別なことは何も無い、普通の人だった。    そもそも、本人の努力があるとはいえ、充分に順風満帆な人生を送っている。   なにも憐れむことなんてない。    いい人生じゃないか。

2017/04/29

た〜

「三日間の幸福」の著者が絶賛するのもよく分かる。とにかく屈折している。一つだけ気になるとすれば、結局のところ”嫁”は救われたのだろうか?

2017/03/28

優愛

手を握った。出来るだけ、そっと願った。僕のあげられないもの。君の欲しいものが、手に入りますように。幸せになりますように。欲しいものに手を伸ばしますように。ちゃんと、掴みますように──優しさだったり、思いやりだったり。そういう感情は必ずしも世界の掟と正比例してくれない──何かあった訳じゃないのにたまらなく悲しくて、寂しくて。大切な人であっても、例えそれが家族であっても。他人の幸せを願う事は容易ではないのだ。綺麗事を一括してくれた本書に終始感情を揺さぶられました。でも私はそれもまた、幸せな事なのだと思います。

2017/11/07

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