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人間 (角川文庫)

人間 (角川文庫)

人間 (角川文庫)

作家
又吉直樹
出版社
KADOKAWA
発売日
2022-04-21
ISBN
9784048974202
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馬鹿はおまえだよ/月夜に踊り小銭を落として排水溝に手を伸ばす怪人【最終回】

 又吉直樹の日々の暮らしの中での体験と、同時に内側で爆発する感情や感覚を綴る本連載。これら作品も少なからず収録したエッセイ集『月と散文』が無事発売され、いよいよ今回で最終回を迎える。ご愛読いただいた読者の皆様、どうもありがとうございました。またお会いしましょう。

 10年振りにエッセイ集を発表することになった。題名は『月と散文』になった。オフィシャルコミュニティと、まったく同じタイトルになってしまうので、なにか別のものでもいいのではないかと考えたが、これ以上にしっくりくるものが思いつかなかった。   『書いてるときだけ生きていた』 『月とひとり言』 『不要不急の人間賛歌』 『僕が不在のみんなのための平等な世界』 『一人で呑んでる』 『綾部さん、お元気でしょうか?』 『ランプ』 『日々、罅(ひび)』 『まいど!おもしろエッセイやで!!』 『自祝』    どうだろうか? 『書いてるときだけ生きていた』、『月とひとり言』などであれば、本として完成すれば、自分の本として愛せたと思う。だが、『不要不急の人間賛歌』、『僕が不在のみんなの…

2023/4/6

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焚火がしたい/月夜に踊り小銭を落として排水溝に手を伸ばす怪人⑱

 又吉直樹の日々の暮らしの中での体験と、同時に内側で爆発する感情や感覚を綴る本連載。これら作品も少なからず収録したエッセイ集『月と散文』の発売が来る3月24日に決定した。名著『東京百景』以来、実に10年ぶりとなる最新刊には未収録のお話を今回はお届けします。

 焚火がしたい。焚火に薪をくべながら、いかにも焚火をしているような表情を浮かべたい。そんな私を見た人は、「あの人は焚火に慣れているんだろうな」と思うことだろう。

 しかし、私は自分で焚火をしたことが一度もない。誰かに用意された焚火を眺めたことがあるだけだ。自転車でいうと、まだ後輪に二つの補助輪が付いている状態だろう。補助輪が付いている自転車に乗っているにも拘らず、ツール・ド・フランスの出場者のような顔でペダルを漕いでいる者がいたとしたら、「こいつ補助輪付きのチャリンコに跨っといて、なにを恰好つけとんねん」と思われて当然である。誰かに用意された焚火を神妙な面持ちで見つめるというのは、それとほとんど同じように恥ずかしいことだ。

 つまり、私が「焚火がしたい」という時、それは自分で必要な材料や道具を揃…

2023/3/7

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人間 (角川文庫) / 感想・レビュー

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H!deking

やっぱり凄いな~。若いころ手に余った自尊心の塊のようなものを料理するの、本当に上手いですよね。太宰治にも通ずる感覚。個人的にだけど、たとえば飲食店とかの内装工事やるときに、オシャレで素敵な感じの施工を求められたりすると、奇をてらった感じにするのがダサいと思っちゃってついセオリーにはしってしまう事が大人になってからよくあるけど、俺が作ったもんなんだからもっと自由で良いんだろうね。めんどくさそうだけど又吉さんと飲んでみたい気がする(笑)

2022/07/12

クプクプ

又吉直樹が本を読むことと文章をかくことと「人間」が好きだということが伝わってくる一冊でした。ただ太宰治やキリスト教など内容は影響力が強いので、ある程度、批判的に読まないと危険な本だと思いました。私は今の日本における、お笑い芸人の役割が好きではないので、この本は面白かったですが、又吉直樹に対しては少し抵抗して自分の人生を歩んでいこうと決意しました。

2022/05/02

mayu

何者かになりたい、自分ならなれるはずだと思う。だけど、何者にもなれない、何も成し遂げていない。そんな自意識との葛藤に苦しくなる。創作とは自分と向き合う作業の連続で、自分の中にあると信じた才能が見当たらず、その片鱗を見せる人にどうしようもなく嫉妬する。所々に又吉さん自身を思わせる描写がある。「生きるために書いたから」又吉さんの葛藤をのぞきみることで、読者である私も、自分の何者でもなさに諦念し、それでも生きていけばいいじゃないと思った。悩むのが人間、著名人で遠い存在のはずの作者の人間らしさを感じる作品だった。

2022/10/09

Vakira

失格でも合格でもない。人間である。又吉さんの太宰治さんへの挑戦もしくはオマージュ。人間の欲求は生、知、遊の三拍子。生は食と生殖。生物である人間の存在するための基本欲求。遊は高等生物になるほどこの行動をとる。食、生殖以外の楽しみだ。知は知識への欲求と自分の創造。作曲、作詞、作画、小説、映画、マンガ、劇その他クリエイティブがそれにあたる。自分の創作物が他人に影響を及ぼすとそれはまた快感だ。その創造が自分の存在意義となる。クリント・イーストウッド、永遠のクリエイター。91歳という高齢になっても映像を世に送り出す

2022/05/21

こうすけ

前半は『劇場』を上回る面白さだったが後半失速。ネットの誹謗中傷に対する過剰なほどの反論は、小説だからこそできる表現だが、それを影島に語らせていることに違和感。経歴や下の名前、人の姿や記憶が混同する描写、おばけの絵、カチャーシーなど、数々のヒントが示すように、永山と影島は明らかに表と裏の同一人物であり、その総体は又吉直樹本人である。だからこそ、本当に言いたいメッセージは、表の主人公である永山から言わせてほしかった。ラストに笑いという救済が待っているのはこの人の作家性とも言える。そこは相変わらず良き。

2024/04/15

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