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天使の傷痕 (講談社文庫)

天使の傷痕 (講談社文庫)

天使の傷痕 (講談社文庫)

作家
西村京太郎
出版社
講談社
発売日
1976-05-26
ISBN
9784061360419
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天使の傷痕 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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夢追人009

西村京太郎さんの第2作は江戸川乱歩賞を受賞した社会派ミステリーで題名は「てんしのしょうこん」と読むのですよ。新聞記者の田島が休灯に恋人とデートに聖蹟桜ヶ丘の三角山へ行くと前方から血を流した男が来て倒れ「テン」とつぶやき死ぬ。田島は背広のネームで男の名が久松だと知り彼が恐喝者で死に際の言葉は天使だと見当を付けてバー・エンゼルに行きつく。警察の中村警部補も事件を追い田島と同じく最後に意外な犯人に辿り着く。さすがに乱歩賞らしい派手なトリックと意外な犯人の趣向がミステリーの醍醐味ですが、事件の興味は尚も続きます。

2023/09/30

夢追人009

西村氏の第2作です。本書は江戸川乱歩賞受賞作とあって中々に凝った意表を突く殺人トリックが考案されていますね。けれど私がおかしいなと矛盾を感じるのは、真犯人がこういう犯罪の全貌が明らかになって自らが破滅となる可能性を何処かで意識していたとするならば、果たしてこんな危険な(と同時に一番大切な人を裏切るまるで人でなしのような)手口を選ぶ気になるだろうか?と思える点なのですね。それから西村氏は初期作で盛んに「自殺」をこれでもかとばかりに描かれていますが残された人達が普通に生きる強さを持つ事がせめてもの救いですね。

2018/03/11

nobby

約30年前読んだ高校時代に、読後その真相にショック受けたこと忘れ得ない作品。正直、この頃体感している様々なミステリと比べると遊びは少ないが、何ともコンパクトに分かりやすくまとまった展開。個人情報ダダ漏れの捜査や調査には時代を感じるが、二転三転させての犯人探しには思わず引き込まれる。後半ほぼ解決となってから、まだ曖昧な“天使”の意味…ダブル、トリプルミーニングの延長でついに明かされる社会への提言。そのラスト30頁程で一気に重く切なく畳み掛ける衝撃は今昔とも変わらず…

2017/03/31

たか

西村京太郎がまだトラベルミステリ作家の地位を確立する前の作品。 武蔵野の雑木林でデート中の男女が殺人事件に遭遇した。瀕死の被害者は『テン…』と呟いて息を引き取った。『テン…』とは何を指すのか。デート中、直接事件を目撃した新聞記者の田島は、記者らしい関心から周辺を洗ううちに『テン…』とは天使のことであるとわかる。しかし、事件の背景には予想もしない暗闇が広がっていた…。 作者の若い頃の作品だけに、随所に正義感が感じられ、静かな感動が沸き騰がってきて共感を生む。社会派ミステリの傑作。C+評価

2020/08/16

ちょろこ

日本の古き良き推理小説、の一冊。やっぱり西村さんの初期小説は秀逸だなぁ…と。主人公の新聞記者が遭遇した殺人事件。これがまた単なる犯人探しの推理小説ではなく、この時代ならではの背景、日本、村社会での考え方、生き方という社会問題が提起されている。主人公の新聞記者のラストの心情には唸らずにはいられなかった。今の時代、その問題は表面上は厚い壁が薄い壁になったような気がするけれど実は見せかけで、結局あまり変わっていないような…。この作品が名作として今でも書店に並ぶのがわかる気がする。

2015/05/29

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