KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

空海の思想について (講談社学術文庫)

空海の思想について (講談社学術文庫)

空海の思想について (講談社学術文庫)

作家
梅原猛
出版社
講談社
発売日
1980-01-08
ISBN
9784061584600
amazonで購入する

空海の思想について (講談社学術文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

Shoji

哲学者が哲学的に書いた物だけに良く分からなかったというのが正直な感想。私にはまだ早かったのかとも思う。二度三度読んで、ようやく少し理解ができるのかも。そもそも奈良時代の人物が考えたことなんてどうして現世の人間が語れるのか。空海の著書を読み込んで、関連書籍を漁って、時代考証して、論理を組み立てて、空海の心情を復元したのかなぁ。難しい本だった。

2019/09/20

kazuさん

仏教は本来、現世にたいする否定精神を、その根幹に持っているが、空海が導入した密教は現世に対する否定精神を否定する。そして、世界というものは素晴らしい。それは無限の宝を宿している。それは、汝自身の中にある。世界の無限の宝を開拓せよと、と教える。これが密教の思想的特徴であると。真言密教では、凡夫であっても、大日如来と一体化することによって教理に達することができ、仏になれる。即身成仏である。大日如来は仏陀より中枢側に、宇宙の中心に配置されており、空海の編みだした真言密教は、革新的な宗教だと改めて思った。

2024/01/10

KAKAPO

「密教は、毘盧遮那→金剛薩埵→龍猛→龍智→金剛智→不空→恵果→空海と伝わった。龍猛は龍樹ともいい、大乗仏教の建設者とされる人であった。密教経典は、もっとも新たにつくられた偽典ということになる。金剛智が南インドから連れてきたのが不空であり、金剛智の死後、インドに戻り、龍智に会って密教を学んだ。」このように、空海は奇跡のような灌頂の連鎖を受け、帰国した空海は、由緒正しい密教を習得したと、大胆な解釈によって更に進化させた。

2018/10/29

fishdeleuze

わずか100ページほどの小著ながら、空海の人物、密教哲学、主要著作と幅広く網羅され、そのアプローチは深い。後半、主要三著作の解説は難解で、一読して理解するのは難しいけれども(深甚微妙とはよく言ったもの)、それでも、本書の白眉である密教とは肯定の思想(哲学)であるという主張は読んでいて元気がでる。「世界というものはすばらしい。それは無限の宝を宿している。無限の宝はお前自身の中にある。汝自身の中にある、世界の無限の宝を開拓せよ」

2012/12/11

トッポ64

密教とは、世界肯定の思想である。全ての存在は因果によって生じるが、その因果を遡っていくと、最後は因果によって生じたのではない原因(=不生)に到る。それはキリスト教でいうとGODであり、仏教でいうと大日如来である。世の中の全てのものは不生が姿を変えたものに過ぎないという点において、全てのものは同じであり、同じでない。違うことを当たり前に受け入れるという寛容さに、多くの人が密教を支持してきた理由が あるのだと思う。

2017/03/12

感想・レビューをもっと見る