探究2 (講談社学術文庫)
探究2 (講談社学術文庫) / 感想・レビュー
chanvesa
「『他者』は、異者が実は内在的であるのに対して、外在的(超越的)である。それは超越者ということを意味するのではなく、いかなる意味でも(自己または共同体に対して異質であり)、後者の″疎外″や″理想化″として在るのではないということを意味している。…『他者』との交通には、一つの″飛躍″がともなう。(252頁)」社会が「身内」しかプレイヤーになれない言語ゲームに興じ、他者をはじき飛ばす傾向は揺るがない状況になっている。定量性への執着は、「無限の認識」である「『他者』の発見(335頁)」に対する忌避に通じるのか。
2018/09/23
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ママ、このひとのスピノザ解釈ちょっと変!ヘーゲルおじさんに教えてあげなきゃ!
2019/03/29
みのくま
本書は、國分功一郎「中動態の世界」や東浩紀「ゲンロン0観光客の哲学」のプロトタイプといえるのかもしれない。「探究Ⅰ」において独我論からの脱出、他者や外部を改めて定義し直した著者は、本書で内部と外部の「間」である「交通空間」に着目する。「交通=交換・コミュニケーション」を行う空間は砂漠=海=都市であり、東洋においては「道=理」である。そして、そもそも共同体(内部と外部の分割)が成立する以前から交通空間は存在した。そこでは交換と贈与(著者によれば贈与も交換の一形態)が行われると同時に、内部も外部も存在しない。
2018/04/14
記憶喪失した男
デカルトとスピノザとフロイトにめっちゃ詳しい。哲学案内書にはいいかもしれないけど、新しい知見をくれる本ではない。「探求」は西洋哲学ばっかりやってたらこうなるのかって典型な本だったよ。まあ、柄谷はガチ勢だとは思うわ。そこは評価するが。ちなみに「探求1」より「探求2」のが面白い。
2016/01/22
ミスター
柄谷行人の作品には男しかいない。前にある友人が柄谷行人には女の影がないと言っていたが、そんなことは当たり前で彼が想定しているコミュニケーションとセックスは男しかいないからだ。例えば冒頭で柄谷行人はプラトニック・ラブを否定している。これは近代私小説が持っていたイデオロギーに対する痛烈な批判だと思うが、そこで語られている「失恋」とは男性愛的な物だと思う。これは漱石に影響を受け文芸批評を始めた男の必然である。漱石が描き続けたのは男女の関係ではなく、男女の関係で邪魔される同性愛に他ならない。
2020/05/14
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