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崩れ (講談社文庫)

崩れ (講談社文庫)

崩れ (講談社文庫)

作家
幸田文
出版社
講談社
発売日
1994-10-05
ISBN
9784061857889
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崩れ (講談社文庫) / 感想・レビュー

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やいっち

本文には筆者が72歳であり52キロであることが何度か出てくる。昭和51年からの連載(『婦人之友』にて)。当時の72歳というと、いまなら80歳は優に超えている。その年で思い立って自然の剥き出しの惨状に立ち会おうと思い立った。厳しい場所が多く、時には関係者に背負ってもらってまでも崩れの現場に近付こうとする。もう、なりふり構わず。その思いは何処から来るのか。身辺雑記の叙述を得意とする作家が何故。昭和の作家で山の厳しさ美しさを愛でた人物は散見される。が、崩落現場へ自ら出向き対面した作家は少ないのではないか。

2020/04/11

ホークス

繊細で文学的な感性が、自然科学的な、極めて男の子的な現象に魅せられた不思議なエッセイ。相手は日本三大崩れに数えられる巨大な山崩れ現場。当時著者は72才だが、少年の様に現象の圧倒的パワーと視覚的ショックに驚き翻弄され、追憶も含めた「崩れ」巡礼に入っていく。実は土砂崩れを体験もし、興味を持っていたと分かる。勝手な解釈かもしれないが、本書の凄さは、老年からでも、いや老年になったお陰で、新たな感性や可能性を獲得できると思える所にある。物理的な驚異を語る著者が、とにかくチャーミングに感じられた。

2016/12/23

KEI@ I ☆ YOKOHAMA

十数年ぶりに再読。「72歳、52キロ」の作者が、大谷崩れを偶然見たことから、「崩れ」る様を自分の目で見たい、それを文字にしたいと各地を廻る。衰えを感じ、人の背負われても「私も見たい、連れていってぇ」と、日頃なら他人に負担を掛けるような事は避ける人柄と察するのに。この好奇心、地質も山の事も知識は無いと承知で、言い尽くせないと思いながら、自分の言葉で表現しようとする姿、その文章に目を見張った。作者が最初に衝撃を受けた安倍川の大谷崩れ、泊まった梅ヶ島温泉に行きたくなった。歩けるうちに行かなくては。

2015/07/20

上田氏

幸田文、崩壊地女子(72)始めました。そんな軽いノリではないが、大谷嶺の崩壊地を見るなり何かが発芽。以来、日本三大崩れや砂防現場、噴火の害を被る活火山山麓を見聞し、その土地その人の営みや脈動を濃度の高い筆致で記す。さて私事ではあるが、身近なところに、文章はものさないまでも似たような人物がいる。我が母である。齢六十五にして野山を馳せ巡っては岩肌に見惚れている。もし彼女が文筆を握っていたら崩れについて記しただろうか。ともかく、このまま怪我なく、七年後もその先も崩壊地女子としてよろしくやって頂きたいものである。

2018/04/12

マサ

北海道厚真町近くを震源とする震度7の地震が付近の山々を崩した。その様子を上空から写した写真を翌日の新聞の第一面で見て大きなショックを受けた。こんなに広範囲に山々が赤剥ける崩れは見たことがない。よく「筆舌に尽くしがたい」というが、そんな自然の強大なエネルギーに文筆で迫ろうとした筆者の作家魂に感動する。

2018/09/10

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