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聖女の島 (講談社文庫 み 11-6)

聖女の島 (講談社文庫 み 11-6)

聖女の島 (講談社文庫 み 11-6)

作家
皆川博子
出版社
講談社
発売日
1994-10-01
ISBN
9784061857964
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聖女の島 (講談社文庫 み 11-6) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

記憶が後から襲いかかってくるのでそんなものはまとめて燃してしまう。また初めからやり直したらいい。すべてリセットできると私は幼い頃から知っていた。都合の悪いものはすべて窓から捨てて知らんぷりをしてればいいってこと。 耳触りのよいことばを盲目に信じることでお姉さまは産まれました。私を救ってくれるという意義のための存在。うっとりと酔いしれる。なんて美しいお姉さま。焼けた校舎に血の色の夕陽、世界があまりに愛しいいろに染まっていて、今度こそ理想の世界が築けると希望に満ち溢れた。ここは私のための楽園。

2020/12/09

mii22.

プロローグからすでに出口のない迷宮に足を踏み入れていた。軍艦島のような孤島につくられた修道会の施設に、売春恐喝などにより31人の少女が矯正のため集められていた。事故で3人が死に28人になったはずなのになぜか今も31人いる。はたして死者が混ざっているのか...。ホラーなのかと思いきや、中盤以降はいつもの狂気と官能に満ちた悪夢をみるような皆川ワールド全開の物語だった。夢と現実の区別が混乱しクラクラする感覚を存分に味わい、気がつけばもう迷宮から抜け出すことができなくなっていた。

2015/08/27

ちょろこ

謎と美と幻想と…の一冊。美しい言葉とその雰囲気にぴったりの漢字を使って表現されていく、とても言葉では説明できない皆川さんらしい幻想世界。吸い込まれるように一気読みだった。人は自分の中の狂気に気づいた時、きっと全てを悪夢に変えてしまいたくなる、悪夢で終わらせたくなる…そんなものなんだろうな。

2015/08/30

skellig@topsy-turvy

「まるで撃沈された軍艦の様な廃墟島に、修道会基盤の不良少女更生施設がある」―この設定から胸アツだし、期待は裏切られませんでした。お話の視点は施設を統括する女性の語り手に固定され、読者はこの話が現実なのか、語り手の女の夢・妄想なのか、それとも両方が混ざり合った狂気的世界なのか判別する術を持たない。もやもやする一方で、否応なしに終着点まで一気に引きずられていく。誰かが死んだ、気がする。何かが燃えた、気がする―頭がぐるぐる回り、最後は皆川流幻想の大団円。表紙は吉田良さんのお人形です。

2015/12/31

おりん

再読。やっぱりいい。読み直すと伏線が至る所に張られているのがわかる。おかげであまり結末の意外性は無いが、その回収がラストで一気になされて気持ちいい。あとは主人公の心理描写が良い。生真面目で小心者で完璧主義で、矛盾を抱えている。最後で作中世界が崩壊するのも良いし、そこからの冒頭に帰るエピローグも良い。おかげで本に一つの世界を閉じ込めてる感が出ていて幻想的で素晴らしい。文章も雰囲気がありかっこいい。特に序盤。救いのないラストだが、登場人物が皆、厭な奴なのでそこまで後味が悪く無いのも良い。

2018/06/30

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