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近代日本の批評1 昭和篇(上) (講談社文芸文庫)

近代日本の批評1 昭和篇(上) (講談社文芸文庫)

近代日本の批評1 昭和篇(上) (講談社文芸文庫)

作家
柄谷行人
出版社
講談社
発売日
1997-09-10
ISBN
9784061975828
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近代日本の批評1 昭和篇(上) (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

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ころこ

時代の変遷が分かって良いかと、シリーズのⅢからⅠと読みました。昭和と大正を区別するものとして、マルクス主義の受容と福本和夫の仕事が紹介されています。ロシアとアメリカの時代になったことによりヨーロッパが消えて、日本のモダンへの道のりが頓挫します。大衆化の現象が戦後の吉本隆明の時代よりも前に出現しており、その原因がメディアによる再現性の拡大にあるとします。この昭和の前提に、小林秀雄の仕事は乗っかっているという見取り図を理解すると、小林批判も理解できるという、見事な解説になっています。明治大正期に続いて、ここで

2018/04/07

しゅん

まず、大戦までの昭和の思想・批評のパースペクティブが見通せるという点で大変参考になる。次に、討議参加者四人のキャラ立てとか役割分担みたいなのが見えて面白い。浅田彰がとにかく要約したがるとか三浦雅士は議論の交通整理に徹するとか。「大正」を分断するようにマルクス主義一辺倒になった昭和初期から、国粋主義へ逆転した戦中期へ。こうした流れを意識すると、小林秀雄など当時の批評家たちの文への接し方も自ずと変わってくるだろう。ロマン抜きで仏教に接する武田泰淳の在り方を捉えた柄谷の論考には大いに惹かれるものがあった。

2017/06/29

蛇の婿

近代日本に対する批評、だと思ったら、近代日本に活躍した批評家たちについてごちゃごちゃ書かれた本だったでござる!…題名の最後に『家』をつけろ『家』を。『近代日本の批評家』が正しい題名だろこれ。いろいろこの本を読むためにあちこち調べることになりそれは大変勉強になりましたが、哲学としてのマルクス主義及び登場する批評家について殆どが読了時点ですら私の知識にないため、半分も理解はできなかったかな、と。…あと、対談におけるこの人たちの上から目線はなんだかなぁ…さりげに嘘も混じっているし単体で評価には値しない本かと…

2016/02/21

 

再読。文学が好きですと厚顔無恥に言える連中は端的に言って馬鹿というのはこの時代の批評家の共通認識だったと思うがそういうのをひしひしと感じる座談会ではある笑 ここで展開されているのは政治と文学がなし崩しになってゆくこと、大正(教養主義)的なものを、文学的と言い換えても良いが、福本ー戸坂がそのなし崩しに切れ目を入れようしたこと、それはマルクス主義という「他者」の導入ではあるが、最終的に川端康成的な「末期の眼」に敗北する。昭和10年代問題は、例えば、「偶然」論争のように今でも縮小反復されることになる笑

2017/08/05

amanon

あまりに身も蓋もないというか、バカみたいな感想だが、とにかく「この人達は皆頭がいいな…」というのが第一印象(苦笑)。とにかく歴代の気鋭の批評家達が次々と俎上に挙げられ、バッタバッタと切られていく…その舌ぽうの鋭さには圧倒されるばかり。また、一般的にはそれ程知られていない…というか、殆ど忘れ去られた存在である福本和夫がかなり高い評価を受けているのが印象的。それとは対照的に同じマルクス主義者である三木清への評価がかなり低いのがちょっと不思議な気がした。何より、文学を巡る状況の変化について考えさせられた。

2016/02/29

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