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何処へ・入江のほとり (講談社文芸文庫)

何処へ・入江のほとり (講談社文芸文庫)

何処へ・入江のほとり (講談社文芸文庫)

作家
正宗白鳥
千石英世
出版社
講談社
発売日
1998-01-09
ISBN
9784061975996
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何処へ・入江のほとり (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

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みっぴー

作者、正宗白鳥。名刀の名前みたいですね。これまた私が好き作風で、優柔不断な青年がぐだぐだ理屈を並べつつ無為に日々を消化していくだけのストーリーです。田舎教師とか、浮雲に似ています。親は年老いて、友人は所帯持ちに、変わらないのは自分だけ。「俺は染まらないぜ」的な根拠のない自信を糧に、フラフラとさ迷う青年。何もかもが中途半端。意地を張る意気地無し。読む人によっては堪らなくイライラさせられる内容だと思いますが、私は何故か好きです。

2017/02/01

シロナガス西瓜

「陰鬱な気懶い気持は世が更けるにつれて刻々に骨の髄まで喰い込んだ。」/孤独を拗らせた青年達の過ぎゆく日々をありのままに描く。表題作を含む、正宗白鳥の代表作8篇。/全編を通して裏寂しくてやるせない気持になる短〜中編集。「入江のほとり」も他と同じような読み心地なのだが、かなりヒヤリとする場面があってより印象に残っている。それにしてもあの厭世的な感じはどこから湧いてくるのだろうか。多少なりとも分かるこの、3つの年号を跨いでも消えぬ青年期の苦悩。その孤独から逃れるために、こうしてポチポチと筆を取るのだろうか。

2023/10/31

井蛙

『入江のほとり』。自分のほか誰にも理解できない言葉を鍛えるということ。辰雄が孤独に導き手も目的もなく打ち込む英語の学習は、彼が家族に対して貫く沈黙によってそのSense意味=方向を剥ぎ取られている。彼の益体もない言語学習は私的言語の不可能性を巡る渦動であり、彼が洋紙に書きつけている"Nonsense"そのものなのだ(そればかりでなく、彼はNonsenseの意味さえ知らないかもしれない、と勝代は疑っている)。そのような彼の試みはもちろん彼をどこへも連れていかない。彼がうとうとまどろんでいるうちに、障子へと→

2020/07/29

モリータ

近松秋江から。最も小説らしい「微光」以外の作品、とくに「入江のほとり」からの家族もののほうがおもしろく読めた。単に集中力の問題かもしれんが。ただ、「微光」は全文写して用例採りたくなった。「何処へ」から「今年の秋」のあいだが50年、文体比較だけでもおもしろそう。

2012/03/11

ソングライン

学問を続けたくも、その機会を失い鬱々と田舎の教師をして暮らす男が主人公の入り江のほとり。その男の死が語られるリー兄さん。この2編が好きです。

2017/05/15

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