野坂昭如戦争童話集 沖縄篇 ウミガメと少年
野坂昭如戦争童話集 沖縄篇 ウミガメと少年 / 感想・レビュー
ころりんぱ
青と白を基調とした絵本の中に赤と黒の世界が挟まっている。赤と黒が戦闘と死を象徴している。文章はたどたどしさを感じる。たどたどしさが少年のボロボロになっている心と体を想像させる。戦争とは関係なく本能によって浜に産卵しにくるカメと、戦争で何もかも変わってしまった少年の対比がズシーンと響きます。少年の行動が悲しい。悲しい。悲しい。
2015/07/26
り こ む ん
柳田邦男氏「砂漠でみつけた一冊の絵本」より。海亀の目線から始まり、少年へ…青で表現さた絵柄が、突如、赤く染まる。戦争に関係なく海亀は、産卵の為に沖縄の浜辺にやってくる。そんな中、一人の少年が、産み落とされた卵をまもろと努力する姿が痛々しい。最後の少年姿は、あまりにも苦しく、重く悲しい。戦争で犠牲になったたくさんの名もない命を感じずにはいられない。戦争を知らない大人の方に読んでいただきたい絵本。
2014/03/06
おはなし会 芽ぶっく
淡々とした口調の文章、青を基調とした絵、どちらも静かな怒りと悲しみを感じます。そして赤を基調とした場面には、現実の悲劇と強い悲しみが。 戦時下なんてウミガメには関係ないですし、毎年のように卵を産みにくる海岸にやってきただけのこと。戦時下の哲夫少年はいのちの誕生を必死に守ろうと頑張り、けれど生きていくための行動をしただけのこと。哲夫の最後が苦しくてたまらない。
2021/05/18
ヒラP@ehon.gohon
繰返し読むほどに言い様のない悲しみが深まっていきます。 野坂さんの訥々と語る戦争は、ボディブローのように怒りに燃え、最後に哲夫がウミガメの卵を飲み、海に沈んでいくところまで鈍く響き続けます。 黒田さんの絵も、言い様のない怒りのベールの向こうで叫び続けているようです。 ウミガメから見た戦争が即物的に映り、哲夫の見た戦争は信じていたものの崩壊だったように感じました。 身近な出来事として実感したとき、本当の戦争の怖さを知るのかも知れません。
2017/11/25
とよぽん
野坂昭如さんの文、黒田征太郎さんの絵。沖縄戦の悲惨さ、残酷さを淡々と語る行間に、あの戦争の狂気を後世に伝えねば・・・という強い意志を感じる。ウミガメと人間の「絆」と呼ぶべき不思議な関係も印象に残った。
2017/07/28
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- 出版社
- 左右社
- 発売日
- 2019-11-01
- ISBN
- 9784865282511