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ファミリー・シークレット

ファミリー・シークレット

ファミリー・シークレット

作家
柳美里
出版社
講談社
発売日
2010-05-07
ISBN
9784062161992
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ファミリー・シークレット / 感想・レビュー

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優希

自分の全てを脱ぎ捨て、血すら流しているような印象を受けます。過去と向き合うことはそれだけ辛いことなのでしょう。深く難しい暗い闇。自分で自分を痛めつけているような文章が刺さります。一歩引いたところに佇んでいても、何処かで自分に傷を負わせているようで重さと苦しさを感じさせました。虐待されて育ち、自分も同じことをしてしまう負の連鎖が痛い。心の中を吐き出していく凄まじさの中で、彼女が救われることを願ってやみません。

2016/10/24

里季

以前に「8月の果て」という小説を新聞で読み、なんて悲しい話を書く人だろう、と興味を持っていた作家だった。本書は、小説ではなく、自身の精神的な問題と「虐待された子は虐待する人になる」とよく言われることを、実際にカウンセリングによって解明していく過程をつぶさに語ったものである。作者は、複雑な家庭で、虐待を受けながら育ち、今また自分も複雑な家庭環境に置いて自分の息子を虐待してしまう、という状態を断ち切るべく、カウンセリングを受ける。その方法や、作者と父親との記憶の違いがあることに、考えさせられることがあった。

2013/09/17

スリカータ

凄まじい作家としての業に、戦慄を覚えた。自らの腹を切り裂き、五臓六腑を広げて見せられたような感覚。虐待の連鎖。柳さんの父親の長々とした演説が空恐ろしい。記憶のフィルターは自ら都合の良いように作用するのか。長谷川氏とのカウンセリングを重ね、少しずつ変わってゆく。その詳細な記録。それでも劇的に解決するほど単純なものではなく、明るい兆しを薄っすら感じるにとどめる。ただ10年前の本なので、現在福島に転居した柳美里さんの穏やかな表情と成人した息子さんに安堵しながら、遡り労った。

2020/06/19

みぃ

全身の至る所から血が噴き出しているような・・痛々しいから目を背けたいけれど 目をそらせなくて動けなくなるような本だった。柳さんの一級のフィクションにハマったと思いたい。そうではないなら自分の中に住む哀しい子どもと現実に苦しむ我が子の両方を助け上げて抱きしめて安心させてあげられることができますように。

2013/03/25

CCC

当人の意識はさておき、著者を軸とした二代の虐待の記録になっていたと思う。虐待加害者としての自身と向き合うためにカウンセリングを受け、虐待被害者としての自身と向き合うという流れ。虐待と言ってもなかなかむずかしく、虐待していたと思しき父と著者の記憶に大きな食い違いあるなど『藪の中』的な感触もある。カウンセラーもユング派で、手法的にどうかと思う箇所もあり、大丈夫なのかこのカウンセリングはと思ったりもしたが、そういう部分も含めて生々しかった。

2022/07/29

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